秋田花まるっグリーン・ツーリズム推進協議会ブログ

北秋田市阿仁 第1回根子菜の花番楽まつり

  
6日(日)北秋田市根子集落で「第1回根子菜の花番楽まつり」が行われ、
70世帯178人の普段は静かで小さな集落におよそ300人が訪れ、
山菜料理を味わったり伝統の根子番楽を鑑賞したりと充実した一日を過ごしました。
     
祭りの6月第一日曜は、これまで集落の運動会の日でしたが、高齢化などで今年からとりやめ。
代わりに集落に賑わいをつくるイベントを、と今年初めて「根子菜の花番楽まつり」を開催しました。
集落中心部にある「二又荘」(協議会会員「阿仁ぶなホテル」別館)ではマタギ語りが行われ、
建物の外にまであふれた来場者たちが根子マタギ・佐藤富久栄さんの迫力ある話に耳を傾けました。

     
お楽しみの昼食は、根子婦人会(会長 佐藤美江子さん)のみなさんが山菜料理を用意。
ワラビ、コゴミ、アイコなど根子の山で採れた山菜が盛りだくさんです。
ワラビの塩抜きをしたり、フキのあく抜きをしたり…。
メニュー決めから下準備、また、200人分の食器を集めに集落内外に声をかけたりと
一週間以上前から準備を重ね、周囲の協力とチームワークでこの日を迎えました。

     
婦人会会長の佐藤美江子さん(右)は、
「なんとかこの日を迎えられたって感じかな。
根子は人も減ってるし、1人暮らしも高齢者も多くてね、寂しいよ。
10年後はどうなっちゃうのかなーって心配になる。
でもこんなことろにいっぱい人が来てくれるのは本当に嬉しい。」と、
無事に迎えた安堵と喜びをお話してくれました。
根子生まれ根子育ち。自身も今は1人暮らしであるという佐藤さんですが、
根子を去り子供のところに行こうとは思わないそうです。

「私がいなくなれば、子供や孫が帰って来る場所がなくなっちゃうでしょ。
こんなとこだけど、住めば都です(笑)」
子供に「ふるさと」を残してあげたいのだそうです。
お母さんたちのそういう気持ちが私たちをふるさとに帰ってきたような
懐かしい気持ちにさせてくれるのかもしれませんね。
後からは根子番楽が旧根子小学校の体育館で行われました。

根子番楽は、平成16年国の重要無形民俗文化財に指定されました。
その昔、源氏の遺臣または平家の落人が根子に移り住んだことで伝えられたとされています。
今では、保存会が小学生などに教え伝統を受け継いでいます。

     
食事を終え、番楽会場へ向かう途中、鷹巣から内陸線を利用して来たという男性にお会いしました。
金森嘉次郎さんは、教師時代何度もこの根子小学校を訪れたことがあるのだと言います。
「ここはね、昔から文化的に他と違うというか発展していたというか。
ここの人は熊の肝とかを売りに全国を渡り歩いてた。
だから情報とかもたくさん入ってきてたんですよ、実は。
学校の先生や政治家もたくさん出てる。なんだか雰囲気が違うでしょ。」

金森さんが校庭のあるものを案内してくれました。
「県指定有形文化財 魚形文刻石」です。

高さ1.5mの安山岩に32cm~13cmの魚形文が十尾ほど線刻されています。
時代は縄文時代中期と推察されていて、県内では由利本荘市などでも石が発見されています。
その目的は定かではなく、一説では豊漁祈願とも言われています。
山に囲まれたこの地で当時の人が何を考え石に魚の線を描いたのか…
太古の昔からこの地で独自の文化を携えて人々が生活を営んできた
根子の歴史のひとつです。
     
根子番楽保存会会長の佐藤松夫さん
「この番楽は毎年お盆に公開しているものですが、
なんとか根子を盛り上げようという気持ちと周囲の応援もあってこの日を迎えることができました。」
とあいさつ。

     
わたしも初めて拝見しましたが、火花が散ったり幕を上手に演出に活用したりと、
観客を楽しませる工夫が詰まっていて、とても楽しく拝見しました。
まつりの来場者の中には本来ならば年に一度しか見ることのできないこの番楽を
この機会にぜひ見たいという人が多くいました。
また、まつり実行委員会会長の佐藤正俊さん
「このお囃子の音をわたしたちは母親のおなかの中にいるころから聞いていて、
わたしたちにとっては子守歌のようなものです。
しかし、この伝統を守っていくためには地域の外の人たちにも
支えて頂かなくてなりません。そうしないと根子番楽は無くなってしまいます。
私たちも一生懸命頑張ります。皆様には、こうしてお越し頂いて、ぜひ外からのご意見を頂きたい。
「限界」から「元気集落」となるようこれからも頑張っていきます。
きょうは、私たちの集落のために本当にありがとうございました。」と
大盛況のまつりを締めました。


子の町中には番楽が溢れています。
それほど、根子に人たちはこの伝統文化を大切にしてきたのです。


(集落内のマンホール↑)
実行委員で協議会会員「阿仁の森ぶなホテル」オーナー山田博康さん
集落の人たちが、番楽などを楽しむ来場者の姿に接することで、
自分たちのもつ文化を見直し、外に発信していくことの意味や価値について考えてほしい、
と話してくれました。


(↑旧根子小学校の階段下に飾られている絵)
「今後この番楽をどうやって残していくか。保存会や集落の人がどうしたいのかを
これからまた話しあっていかなければなりません。それが今後の課題です。」

 
今年は残念ながら菜の花の時期はずれてしまいましたが、
変わりにいろんなお花が各家の庭に咲いていました。
来年の開催が楽しみです。
                                     県北担当 やっつ

2010年6月9日19:08 | 県北情報 | Trackbacks (0)

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