秋田花まるっグリーン・ツーリズム推進協議会ブログ

~素朴な味わい~いぶりがっこができるまで

            ふるさと、秋田の味
      横手市山内産「いぶりがっこ」
秋田の食卓に欠かせないもの、「がっこ」。       
その方言の由来は「雅香(がこう)」が変化したものと言われています。  
中でもいぶりがっこは秋田県人にとって横綱級の存在と言っても過言ではないでしょう。                    

11月~12月上旬にかけて最盛期を迎えていた横手市山内産の「いぶりがっこ」の取材&体験に行って参りました!ご協力いただいたのは山内地域でも山深い、三又という地区で農業を営む、三又営農生産組合・高橋登さん、篤子さんご夫妻です。そして高橋家のおばあちゃんと、ご近所の方で、毎日お手伝いに来ているという甲谷さんにもご協力いただきました。何度かに分けて取材させていただいたため、大根と伝統野菜・山内にんじんも登場します!

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まずは大根掘りの体験からスタート!写真のように、抜いた大根から土を簡単に落としてその場に並べていきます。難しい作業ではないので、始めのうちは、できるできる♪と余裕だった私も数十分もすると、中腰での作業に体のあちこちに鈍い痛みが…。気付けば、一緒にスタートしたはずのお母さんは、遥か遠くで大根を抜いていました。恐らく私の3倍のスピードはあったはず。仕舞には畑の中で「おかあ?さ?ん」と叫ぶ距離まで離されました…。



次に収穫した大根(人参)に付いた土を冷たい沢水で洗い流し、縄で編みこんでいきます。これこそが熟練の技。



10本程度の大根(人参)を吊るすので、その重さに耐えられるように、しっかり編みこまなければなりません。おばあちゃんはこの道50年以上の大ベテラン。高橋家でも右に出る者はいないそうです。
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いよいよ、編んだ大根を燻し小屋の中に吊るしていきます。まだ大根が白いのはお分かりでしょうか。ナラ、桜、りんごの薪を燃やし、2~3日の間、24時間燻し続けます。


~2、3日後~

この期間、まんべんなく燻すために、大根の場所を何度か置き換えるのも力の要る重労働です。
燻し加減は各家の燻し小屋の大きさや室温によるそうです。
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この集落の中でも小高い丘の上に位置する高橋家。いぶりがっこの季節、夜に高橋家を見上げると、小屋が真っ赤になっていて、山が噴火しているようにさえ見えるそうです。夜通し、火を扱う危険と隣り合わせの作業なので、お父さんは寒い夜中に2、3回は様子を見に起きなければならないそうです…。
そんな苦労を一緒に重ねてきているおばあちゃんが言っていました。
「今の若い人たちが、『仕事ない』なんて言うのは選んでるからだ。だって、こんな年寄りになったって仕事だば、いっぺあるもの。もし、家に『いぶりがっこの修行がしたい』って言う人がきたって、すぐに辛いと思って逃げてしまうべな」
と。
単にいぶりがっこの作業が重労働というのを意図するわけでもなく、世の中の若者に活を入れただけでもなく、この発言には、いぶりがっこの後継者の問題を含んでいるように感じました。実際、ここは生産者の減少と高齢化という問題に直面している地域です。
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燻し終えたら、縄をほどいて次の工程へ。大根をもう一度、沢水で洗い流します。この工程も体験させていただきましたが、しばらく作業をすると、足腰の筋肉がまたもや悲鳴をあげました。体年齢は私の方が上!?



おばあちゃんの手さばきは早くて何枚写真を撮っても写りませんでした。燻した大根の端を切り落としている作業です。



作業も大詰め、漬けこみです。樽に大根を並べ、その上に具材(麹、玄米、砂糖、塩、米糠、紅花、唐辛子など)を敷き詰め、何層にも重ねていきます。50~60日間ほど漬けておき、また洗ってパック詰めして、やっと出荷の準備が整います。

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高橋家では燻す作業を今年は10回繰り返して、約16000本の大根を燻したそうです。その中にサイズなどの問題で出荷に至らない大根もあるとはいえ、一本一本に手間暇がかけられています。これを何年も続けるということは決して容易ではありません。
しかも、この時期はいぶりがっこの作業に手がかかるだけでなく、連日のようにテレビ、新聞、雑誌などの取材陣が訪れるそうです。お父さんとお母さんがその対応に追われる姿を見て、私も取材させていただく身でありながら、「毎日、取材の人が来て仕事がはかどらないんじゃないですか?」と聞くと、甲谷さんが「確かにその日に決めた仕事が終わらないこともあるけど、山内のために頑張ってくれてるから有難いよ」とにっこり答えてくれました。


皆さんとの休憩時間も楽しかったですよ♪薪ストーブで作った焼き芋を食べながら、規格外の大根をどうするか相談したり、山内にんじんの加工品に案を巡らせたり…。皆さん、今の仕事でさえ大変なはずなのに、次へ次へと進まなければ!という意気込みと活気に包まれていました。



「いぶりがっこで一番大変な作業は?」とお母さんに聞くと、
「全部!」と即答。「燻してるとこだけが取材に取り上げられるけど、8月の種まきだって大変だし、大根を水で洗うのだって手が冷たくなる作業。編んだ大根を吊るすのはお父さんしかできないし。」と。
そして話題は、ちょうどその時、地域のお年寄りが集まるお茶会に出掛けていたおばあちゃんの話になりました。「ばあちゃんの存在は大きいよ。百姓のことでも漬け物のことでも、聞きたいことがまだまだいっぱいある」とお話し下さいました。取材に応じるのはお父さんとお母さん。でも、縁の下の力持ちはおばあちゃんなのかもしれませんね。おばあちゃん、この日はいつもより早く仕事に取り掛かって、自分の仕事はしっかり終えてから、漬け物を持ってお茶会に出掛けたそうです。「どんなに忙しくても、地域の人とのコミュニケーションは大事だから、誰も文句一つ言わずに送りだすんだよ。だって、ばあちゃん、自分の仕事はちゃ~んとやってぐし」とお母さんが言うので、一緒になって笑い合いました。
   手間暇かけたいぶりがっこ。
   添加物を一切使わない、安全安心ないぶりがっこ。
   そして、山内地域の皆さんの温もり…。
   口にした人、皆を必ずや「うまい!」とうならせることでしょう。
  高橋さんのいぶりがっこはこちらからご購入いただけます。
                      →究極のいぶりがっこ
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高橋家の愛犬ベルも大根の美味しさに太鼓判を押しています。
人間よりも先に新鮮野菜を食べてる…                       
                             県南担当 けこさん

2009年12月25日14:56 | 県南情報 | Trackbacks (0)

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