米づくりの村 母の面影 田んぼの学校 過酷な労働 実りの秋
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Life of village 1
 米づくり農業は、自然との循環だといわれている。村の生活は、こうした米づくりと自然の律動にのって動いている。

 4月から10月にかけては、田の仕事に追われる。この時期は、家族みんなが働き手となり、いこいの時と言えば田植えの終わった数日間と収穫後の一ときだけであった。そんなときには、みんな集まって酒を酌み交わしたり、近くの湯治場に出かけたりする。

 11月から翌年の3月までは、村は一面の雪におおわれる。冬ごもりは、生活を考える場であるが、忙し過ぎた夏には、こなしきれなかった分を片付ける時でもあった。
冬、新雪が音もなく降り続き、1度に二尺も積もる。そんな朝、歩く道をつけるために威力を発揮するのが、ワラで作った雪踏み俵である。頭からすっぽり被っているのはミノボッチ。 今では見ることができなくなった、この地方独特の風俗。ワラ手袋、サンペと呼ばれるワラで編んだ長靴、寒さよけとして背中当てにしているのはケラ・・・米づくりの村の暮らしに、ワラ細工がいかにうまく利用されていたかがわかる。
ワラジをはき、背中にコダシと呼ばれる手提げ袋を背負っている。ワラジの製法は、ワラで作る履き物の最も基本となっていたようで、子供がワラで履き物を作って遊ぶとき、縄ないの次はワラジ作りをしたという。 かぐまぎ(角巻)。冬、女性が肩に掛けるショールのことを「かぐまぎ」と呼んだ。真四角の毛織物を三角形に折って使う。靴はワラ靴を履いている。
コダシ・・・物を入れる籠。材料は、ワラやぶどうの皮、蔓、樹皮などさまざまな材料が使われた。 サンペ・・・ワラで編んだ長靴、編み方も色々。このほか、雪を踏み固めて道をつくるために使用するフミダラがある。
川を渡る渡し舟。船には、人と自転車、馬、カヤがたくさん積まれている。 当時の主要な交通手段は、もちろん自転車だった。
そして馬も重要な交通兼運搬手段だった。右の写真は、冬の乗り物、馬そり。
荷を引く馬を、秋田弁で゛だちんちけんま゛という。「駄賃付け馬」の意。

大根ひき・・・10月の終わりから大根ひきが始る。冬ごもりの農家に大切なガッコ(漬物)である。どこの家にも大根が干してあり、その大根の白さが雪を思わせる。

大根の葉を編んで小屋の軒下に下げる。今は、大根の干し葉を食べる人は少ないが、昔は米飯のカデにしたり、干し葉汁をよく食べた。
雪に閉ざされた長い冬、薪売りに出る。女性たちも吹雪に備え、ワラで編んだ長いウマノツラを被り、ワラ靴に足のスネを保護するワラハバキを付けている。 一面雪に覆われた田んぼに、堆肥がきれいに並んでいる。肥料分が逃げるのを防ぐために、ワラで作ったトマを被せ雪解けを待つ。これも冬の農村の風物詩だった。

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