米づくりの村 母の面影 田んぼの学校 過酷な労働 実りの秋
村の暮らしT 村の暮らしU 村の暮らしV 村の暮らしW

Fall of harvest
田植えから100日たつと、稲刈りが始った。


「田植えから100日余りの労苦が報いられて、
黄金色になった稲は、たわわに頭を垂れ、
微風にサワサワと豊かな波を立たせる。

あぜ道を通るたびに、草の実がこぼれ、
歩く前後にイナゴがパラパラと音をたててはねる。
・・・青ガラスのように晴れ渡った空には、赤とんぼが
羽を日に輝かして飛びかっている。

サクサクと、田んぼのそこここで、鎌を入れる音が断絶して聞こえる。
鎌を引く手に、稲株からプッと水が飛び散る。
腰をぐっと伸ばし、空中で束ねて投げ出す稲束が、ずしりと重い。

刈り進むにつれて、後方には、真新しい切り株が縞模様を描き、
あぜに立てた稲ぐいには、刈り取られた稲束が忙しく掛けられてゆく。
片手に余る稲の重みに、今年の取れ高を思いながら振り返る目に、
一列に並んだ稲ニオが日に染まって豊かに輝いている。

(「木版画百題 秋田歳時記」相馬信太郎、勝平得之より)

収穫の喜びで、みんなの顔がほころぶ。

稲の乾燥が終わると家の土間に運ばれて、脱穀調整作業に移る。左の写真・足踏式脱穀機や右の写真・当時新型の動力脱穀機が、村中の家々から闇にブンブン響いた。

早場米奨励金がついたので、先を争って米を供出した。

たら・・・米俵のことを秋田弁では゛たら゛と呼ぶ。
米俵の蓋にあたる部分を゛さんだら゛゛さかだらぼっち゛という。

稲刈りがすむと、休む暇もなく堆肥づくりが始った。
昔は堆肥の高さが一丈になれば「一丈モチ」をついて近所に配った。

農閑期にも、用排水路の整備など、することがたくさんあった。
男が被っている手拭姿を「ホカブリ」(頬冠り)という。
わずか三尺の布地だが、鉢巻、ハンカチ、小風呂敷、
まさかの時には包帯ともなり、この上なく簡便で素朴なかぶりもの。

「さあ今日も元気でがんばろう」
新雪が降った田んぼ、耕地整理の労力はほとんどが関係農家から出役した。

米づくりの村 母の面影 田んぼの学校 過酷な労働 実りの秋
村の暮らしT 村の暮らしU 村の暮らしV 村の暮らしW