学びの冬・食農体験ツアー

~河辺岩見三内コース~(2011年12月17日)

 秋田地域振興局主催の「食農体験ツアー」が12月17日(土)、秋田市河辺で行われました。

 これは秋田県の「食・農・観」連携による、地域での新たなビジネス展開の趣旨で開催された日帰りツアー企画のうちの一つです。

 今回は農事組合法人 河辺農産加工組合の指導による味噌づくりやりんごの選別作業体験、あきた山の學校主宰の藤原優太郎氏による「学びの時間」、健康増進のためのエクササイズなど、地域が有する素材をふんだんに織り交ぜた行程となりました。

 味噌づくり体験 河辺農産加工組合にて

味噌づくり体験

  

お食事処「やまぶき」でオリエンテーション。

「お食事処やまぶき」外観

味噌づくりについてのポイントなどを学びます。

食農体験ツアー説明

 河辺農産加工組合にて、さっそく味噌づくり体験。使用する大豆(りゅうほう)がちょうど蒸しあがり、辺りはホカホカした良い香り。

 大豆

 蒸し上がったばかりの大豆。通常5升の味噌を作るのに、大豆を7.5kg・麹10kg・塩3.6kg使用しますが、今回は2.5升なので材料も半分。

 大豆

塩と麹

味噌作りの手順

 材料(5kg)・・・大豆(リュウホウ)7.5kg、

          麹10kg、塩3.6kg。

※今回の体験では、通常作る5升の約半分、2.5升を作りました。

 

 ①大豆の入った樽に塩を入れる

 ②麹を入れ、混ぜる

大豆を撹拌

 ③すり機に入れて撹拌し、塩水を入れる

 ④搾り出てきたものを再び樽にあけて保存

味噌づくり 

麹室

 あきたこまちから作られた麹は、刈和野の今野商店の麹菌を使用し、この麹室で作られています。

 

味噌の手入れ

 製造したものを樽に詰めて終わりではありません。

作った味噌に内蓋をし、重量に合う重し(漬物石など、5升に対し10kg)をします。

 製造後3ヶ月経過したら掻き混ぜ、天地を逆にして詰め直すか、別の樽に移し替え、重しを半分の重さにします。

 手入れ後、さらに6ヶ月経過したら手入れ(かき混ぜをし)ます。熟成を進めるため、夏を越すのがベスト。10ヶ月~1年で食べられます。

 

●保管場所…温度は高くてもOKですが、日光には当てない。風の通らない倉や車庫へ。

●その他…3年程持つ麹菌を使用した味噌ですが、もし黒くなったら冷蔵庫にて保管すると熟成が止まります。 

 

 家庭で作る場合、使用する大豆は蒸しても煮てもOK。煮たら、煮汁も一緒に入れる。煮た方が栄養成分が無駄なく入って美味しいのだそうです。

 他にも様々な注意事項があり、本当に美味しい味噌を作るには、こまめな手入れが必要なのだと分かりました。さて、よどぎみが作った味噌は、無事に食べることができるのか…?!乞うご期待!

出来上がった味噌

 出来上がった味噌。写真は河辺農産加工組合で販売しているもので、イメージです

地産地消の手作り弁当

 いったん「やまぶき」に戻って、地元の母さんらが作ったお弁当をいただきました。

がっこ

 自然の色合いが豊かな、手作りがっこや、朝採りの野菜なども直売していました。

 りんごの選別作業 ~杉沢地区・戸澤果樹園にて~

リンゴの選別作業

 

 杉沢地区に数件ある果樹農家の中でも、戸澤果樹園にて、りんごの選別作業体験を行いました。

杉沢地区戸澤果樹園のりんご

 潰れたり痛んだりしているものがないかを、一個一個丁寧にチェックしてから、選別台に乗せます。

りんごの選別作業

杉沢地区の果物は、昔から美味しいと評判です。

選別されたリンゴ

秋田地域振興局の吉田さんも体験!

秋田地域振興局の吉田さん

 戸澤加代子さんと、秋田市の農林部農業農村振興課の斎藤さん。

戸澤加代子さんと、秋田市の農林部農業農村振興課の斎藤さん

 選別の順番待ちをしている時に「まんづ、つまんでけれ~」と出された、戸澤さんちの手作りがっこ。

戸澤さんちのがっこ

 学びの時間 ~「あきた山の學校」にて~

「あきた山の学校」にて

 

藤原優太郎さん

 藤原優太郎さんより、「自然(じねん)の思想」についての講義がありました。

 「じねんとは“あるがまま”と言う意味。長い歴史の中で、人々がその地に生かされている理由を考えてみてください。私たちの先祖は、ここの水と土壌、山菜などの食べるもの等が子孫を残すために暮らしやすい場所だと判断し、代々住みついた結果、集落が出来たのです。自然の力で循環する再生可能なものを生活に取り込めば、暮らしは根本的に豊かになります。ストーブひとつ、体を動かし薪を割ってみて初めて“火を焚き暖を取る”ことの豊かさに気付くでしょう。一つひとつの事象には理由があるということを改めて見直し、考えて実行することが大切と思います。“生活のスタイルも、人間の仕事のうち”です」

健康セミナー

 その後、「ユフォーレ」にて汗を流し、インストラクター付の健康増進セミナーが行われました。

「あきた山の学校」内部

「あきた山の學校」とは…

 山の學校は、山歩きで触れ合う自然の在り様を通して学ぶ団体です。大自然をステージにした野外活動などを通じて、私たちが生きるために欠かせない「自然ってなんだべな?」という永遠のテーマの謎解き活動をします。

 子供には楽しい夢の空間、若者には新しい価値観を発見するホームルーム、シニアにはまだまだ若者には負けない生きがいの空間を提供できるよう、自然に軸足をおき、山を楽しみながら何かを得る、そのための機会と空間づくりをするのが大きな目的です。

(※許可を頂き、HPより一部抜粋)

吹雪の秋田市河辺

 あきた山の學校

   秋田市河辺三内字柳台59-3
   電話&FAX 018-883-2032

 味噌作りは3度目のよどぎみでしたが、今回のように加工組合の大きな設備をお借りし、大人数での味噌作りは初めてでした。初めての人も何度目かの人も、一緒に和気あいあいと協力して体験し、お昼を食べ、運動したので、頭も体も使ってリフレッシュ!

 また、あきた山の學校の藤原優太郎さんの「足るを知る」についてのお話は、大変参考になりました。

 「これがないあれがない、あれがほしいこれがほしい」と、普段の生活に何かしら不足があると思っていても、実は人の生活に本当に必要な物は意外と少ないことや、より便利に暮らすため、気持ちを満たすために購入する物の方がはるかに多いということ…。昔ながらの暮らしだけが素晴らしいというわけではありませんが、長きにわたり自然がもつ厳しさと豊かな恵みを受けながら四季の移ろいを感じてきた先人たちが送ってきた、そのシンプルな生活スタイルに触れた時、足るを知り、今生かされていることに感謝したいものです。

 そして、自分の周りにあたりまえのように存在する「自然」が、私たちにとってどれだけかけがえのない財産なのかということに気づかなくてはならないのです。本当に必要なものは、身近にあったりするのですから…。

 

外は吹雪に氷点下でも、ポカポカした気持ちで帰路へ向かった 県央地区現地特派員よどぎみ