男鹿でイタリアカフェめぐり

~おがーりあ~(2011年9月3・4日 男鹿市)

 男鹿と言えば、ハタハタから作られた魚醤「しょっつる」が有名ですね。同じような魚醤がイタリアにもあることはご存じでしょうか?カタクチイワシが原料の「コラトゥーラ」というものです。南イタリアはナポリから、およそ2時間にある世界遺産・「アマルフィー海岸」の一角にあるチェターラ市では、ローマ時代の調味料に端を発するというこの伝統食材・「コラトゥーラ」を大切に守り続け、町おこしにも成功しています。

 魚醤文化だけでなく、北緯40度以上に位置し、共に素晴らしい海岸線を持つ国定公園があるなど、地理的にも男鹿市とは共通点があるイタリア。この関わりの中から、「世界の中の男鹿」という全く新しい視点で2011年春に有志によって設立されたのが「おがーりあ」です。この「おがーりあ」の初のアクションとして、9月3・4日の両日、旧北磯小学校を利用したイベント「男鹿でイタリアカフェめぐり」が開催されました。

3人のマスターによるコラボカフェ

 「男鹿」と言うと、どうしても雄々しいイメージがつきまといますが、このイベントはそうした「男性的」なイメージよりもむしろ「女性的」な、「女性が魅力を感じるイベント」に重点を置いています。

 

 今回のイベントの一番のメインはやはり、イタリアを代表するエスプレッソメニューの提供。この日のために特別ブレンドされた「イベント限定・コラボブレンド」は、グリーン・ツーリズム推進協議会会員の「こおひい工房珈音」・佐藤さん(男鹿市)、「caffe gita」・田村さん(湯沢市)、「Caffe La Famiglia」・千葉さん(秋田市)の3マスターによる力作です。滝の頭湧水で育てられたクレソンを使用したパニーノや、地元・男鹿にある菓子店より集められたケーキは好評でした。

給食スタイルのスイーツ BGMと館内放送担当の猿田さん

 そんなわけで、やはりここで外せないのは、男鹿の「しょっつる」。諸井醸造所のしょっつる販売コーナーが、ガラス作家・ヴェトロさんや陶芸家・つるかまさん、風景画・相馬大作さん、写真家・田村寛維さんの作品展示と共にあり、どこか芸術的な雰囲気を醸し出しておりました。

諸井醸造のしょっつる

相馬大作さんの絵画

ガラス作家・陶芸家たちの作品

 男鹿の海岸にある「孔雀の窟」とイタリア海岸の比較写真展示コーナーも設けられ、男鹿とイタリアの共通点を再認識したり、参加者は思い思いの時間を過ごしていました。

 他、色つきのシールを転写して、カップにデザインしていく「ポーセラーツ」や、「おがーりあ」会長・土田満貴子氏によるイタリア語に挑戦する時間なども人気を集めていました。

写真で見るイタリアと男鹿の比較

写真で見るイタリアと男鹿の比較

教室案内 おがーりあ会長・土田満貴子さん

 もうひとつのメインは、2階音楽室で行われた、光り輝く男鹿の海を見ながらのその名も「海が見えるコンサート」。フルートとピアノの調べや、「こおひい工房珈音」・佐藤さんと奥様が奏でる、コントラバスとソプラノのハーモニーで、ノスタルジックな気分を味わえるひとときとなりました。

こおひい工房珈音の佐藤さんによるコントラバスの演奏

こおひい工房珈音の佐藤夫妻によるハーモニー

 ノスタルジックついでにもう一つ。カフェ&スイーツの提供皿とトレーは、何と北磯小学校でかつて使用されていた給食用のもの。参加者に感想を聞くと、「大人になってこの食器が使えるなんて、いいですね。懐かしい」と好評。由利本荘市からお越しの清野さんは、「(学校の)教室でお菓子を食べるなんて、ちょっと悪いことをしているような、気恥ずかしい気分。でも、楽しいです(笑)」と、昔だったら絶対先生に叱られたことも、今だから許されるこの不思議。

 学校から徒歩で5分が自宅だという80代の男性は、「学校がなくなると途端に地域が寂しくなってしまうから、廃校になってしまった校舎もこういう行事で少しでも利用して、生かしてもらえることは嬉しいね」と、涙ぐみながら答えてくださいました。「様子を見に来ただけ」だそうで、前売り券を購入したのにケーキも飲み物もいらないというのですが、焼き菓子なら大丈夫ということで、お渡ししたのでした。

旧北磯小学校 景色を見たりしながらゆっくりと時間を過ごすお客さん

 あきた地域資源ネットワークの鐙氏と、「海辺のおうち青の砂」の土井氏も来場。

土井さん(右)と鐙さん(左)

 海が見える二階の教室。風は強かったですが、2日間とも晴天に恵まれました。

海が見える二階の教室

 「おがーりあ」は、一日にしてならず。地域の人々の思い出や願いを乗せ、様々な人々との交流を生かしながら、南イタリアのような、元気で輝く男鹿に育っていきますように!

 

どっぷり男鹿に浸かった、県央地区現地特派員 よどぎみでした。