秋田県で出会う、美味しいお米、美味しいお酒、旬の山菜に、魚、その美味しさの秘訣は水にあると言われています。海から来る雲を秋田県を囲む山々が受け止め、雨や雪をたくさん降らせます。特に冬に積もった雪は春になって溶け、山の層を何年もかけて通り、地表へ出てきます。この天然の濾過器が秋田県全体に綺麗な水を送ることになります。この地理的条件が秋田県の土壌を豊かにし、美味しい食材を育てるのです。

そんな秋田の魅力を肌で感じることができるのが鳥海山です。標高2,236メートルの鳥海山の山頂は1年を通して雪が残り、その形が富士山に似ていることから、出羽富士と呼ばれています。登山口から約4時間で登ることができます。今回はオーストラリア人、ベネズエラ人と一緒に登ってきました。

今回登ったのは由利本荘市の矢島口と呼ばれる登山口です。夏を過ぎると、登山口にはもう雪はありません。代わりに雪解け水がいっぱい溜まった湿地帯が山登りのスタート地点です。地元の人々が自ら運んで並べた石畳を登りながら進んでいきます。時期にもよりますが、高山植物などここでしか見られないお花を見ることができます。

この山を登るにはアイゼンと呼ばれる、専用の器具を持っていったほうが良いでしょう。途中から雪が出てきます。この斜面は急な場所もあり、そう簡単には登ることが出来ません。天候によっても雪の状態は変わりますので、初めての方は必ず持っていったほうが良いでしょう。

登山の途中、湧き水が湧いているところによく出くわします。雪が溶け、ゆっくりとしみ込んできた水は徐々に一緒になり、大きな流れを作ります。秋田の大地を潤す美しい水の起源を見ることができます。

山頂は火口が美しく見え、壮大な景色です。鳥海山の名のいわれの通り、頂上からは海を見渡すこともできます。通常、登山者は朝登って、頂上で昼食をとり、下山します。天候や雪の状態により登り易さや時間などは大きく変わります。鳥海山を登る際は、登山者名簿に名前を書き、初めての方は案内人と登ることをお勧めします。

鳥海山、初めはそれほど高くなく、簡単に登れるだろうと思っていました。しかし、実際に登ってみると、途中の雪がとても大変で、途中息が切れて何度か休憩しながら登りました。頂上に着いた時はとても感動しました。この日は雲が山の下に見えて、まるで自分が雲の中にいるようでした。秋田の起源は水であるということを体感する最もおすすめの場所です。 (ベネズエラ)