刈和野の大綱引き

今回私たちは大仙市刈和野の大綱引きを訪れました。刈和野の大綱引きは室町時代より500年以上も続いており、町を上町(二日町)、下町(五日町)と二分し、長さ200m、重さ20トン以上にもなる大きさの綱を引き合う伝統ある行事で、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。

大綱引きの魅力を一言で表現するとすれば、「静寂と喧騒」のコントラストと言えます。引き合いの直前、町は緊張感に包まれ、町の引手たちは各々の心の中で興奮のボルテージを上げていきます。引き合いが始まると、数千人の引手たちは一瞬で熱気をあげ、「ジョウヤサノー!」と叫びながら全員が一体となって綱を引きます。

二町による引き合いは20分以上も続きます。

大綱引きは元々は、その年の市場開設権をかけて上町、下町が綱引きを使って勝負したことが始まりでした。現在は、上町が勝つと米の値段が上がり、下町が勝つと豊作になるというその年のお告げ下されると言われています。

綱引きで使われる大綱は毎年1ヶ月ほどの時間をかけて手作りします。

熟練した職人を中心にして町内の人々が協力して作り上げます。大綱が完成すると神官による祈祷とお祓いが行われます。綱引き当日になると2つの大綱が引き伸ばされます。2つの大綱を結び合せる「綱合わせ」は会場がもっとも緊張感に包まれる瞬間です。重さ20トン以上の大綱を結ぶために、建元と呼ばれるもっとも熟練した職人たちが指示しながら、多くの人が大綱を持ち上げ、もう一方の大綱に結び合せます。

とてもおもしろい経験でした。とても寒い日でしたが、終わってみると体がぽかぽかしていました!祭りの最初に行われた和太鼓のパフォーマンスはすごかったです。そのあとの二つの町の男性たちが秋田の言葉で叫びながら押し合いをする儀式のようなものは観ていて興味深かったです。このような日本のローカルな儀式、祭りを見るのは初めてで、そこに隠された歴史や意味を知りたいと思わされました。ですが、実際に綱引きに参加できたことが一番楽しかったです。地元の人に交じって同じ体験ができるのは旅行の醍醐味だと思います。インターネットで異文化を”知る”ことはできますが、実際に秋田に来てみないと”体験”はできないと感じました。