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Akita Green Tourism Spot51曲田地区大館市大館市の郊外曲田地区に建つ一階建ての小さな聖堂。俗に「曲田の教会」と呼ばれているが、正式の名称は「北鹿ハリストス正教会曲田福音聖堂」。明治二十五年に竣功し成聖式(竣工式)が行われたというから、百二十年以上の古い歴史をもつ建物であり、昭和四十一年には秋田県指定重要文化財に指定されている。日本ハリストス正教会は、幕末期に聖ニコライ大主教が函館のロシア領事館付の司祭として日本に来たときから始まった。日本国内各地で布教活動が始まり、数多くの信者を抱え現在に至っているが、なかでも有名なのが、東京お茶の水にある東京復活大聖堂、通称、ニコライ堂である。ニコライの日本語の師が大館出身者であったこともあるが、大館でも信者が多く、ハリストス正教会に帰依した曲田の地主・畠山市之助が、祈祷所が手狭になったため自宅の屋敷内に建てたのがこの聖堂である。ニコライ堂の成聖式に上京し、れんが造りの丸いドームを抱いたビザンチン様式の聖堂に感銘をうけ、それを模してこの聖堂が建築された。良質の秋田杉材を用い、現存する木造のハリスト正教会の建造物としては日本最古のもので、しかもビサンチン様式を伝える貴重な洋風建築である。ハリスト正教会建築学史上において明治前期の擬洋風建築を伝える典型としてその存在価値は高い。昭和二年、曲田地区に火災が発生し、畠山家も被災したが、隣接する聖堂は猛火に包まれながらも、全く無傷であったという。このことから「奇跡の聖堂」とも呼ばれるようになったという。聖堂の内部には数多くのイコン(聖像画)が奉納されているが、これらは明治時代にロシアに留学しイコンを学び、ニコライ堂の聖像も描いたという女流聖像画家・山下リンの作品である。女性らしい柔らかい感情のこもった表現は、美術家の中でも高く評価されており、奥の部屋(至聖所)にある「ゲッセマネ園の祈り」と合わせたこれらのイコンは大館市の文化財に指定されている。一世紀以上の風雪に耐えた小さな清楚な建物の聖堂の中に、ふくよかなロシアの文化の香りを今も伝えている。北鹿ハリストス正教会曲田福音聖堂内部を拝観希望の場合は?090-5596-5867輔祭・釜谷幹雄さんまで連絡を。要予約。文化財維持のため、見学献金300円。1?3月は積雪のため休館。駐車20台。ロシア文化のふくよかな香りを伝える日本最古の木造ハリストス正教会。