旬を感じるツアー 阿仁マタギの里・冬物語

(2012年2月 北秋田市)

スノーキャンドルストリートin阿仁スノーキャンドルストリートin阿仁

 2012年2月18日(土)~19日(日)の2日間、秋田県の魅力を探る旅「あきた農山村・旬を感じるツアー」(以下 旬感ツアー)の「阿仁マタギの里・冬物語(主催:秋田内陸線旅行センター)」が行われました。

 旅をナビゲートしてくださったのは、「秋田内陸線旅行センター」の所長・藤原文雄さん。

◆1日目行程 ……………………………………………………

  10:30 阿仁湯口内集落(集会所)で田舎料理体験(サバ寿司・大根漬けづくり体験、昼食)
 13:30 ゴンドラで行く森吉山樹氷鑑賞(山の案内人付き)

 15:05 スノーキャンドルづくり体験、阿仁合駅にてお雛様見学

 16:50 「スノーキャンドルストリートin阿仁」見学

 18:30 「ホテルフッシュ」泊

湯口内から阿仁川を望む

 湯口内から阿仁川を望む

 阿仁湯口内集落で田舎料理体験

田舎料理体験

 阿仁湯口内集落にある「湯口内集会所」で、地元の「湯口内生活研究グループ」の皆さんの指導のもと、田舎料理体験(サバ寿司・大根漬けづくり)が行われました。

「湯口内生活研究グループ」の工藤正子会長

 「湯口内生活研究グループ」の工藤正子会長。

田舎料理体験(サバ寿司づくり)

 田舎料理体験(サバ寿司づくり)。

田舎料理体験(大根漬けづくり)

 田舎料理体験(大根漬けづくり)。ひたすら、大根を切る参加者。

サバ寿司

 仕込んだサバ寿司。そぎ落としたハラミの部分は混ぜず、最後に乗せることがポイントです。

「湯口内生活研究グループ」による昼食

 湯口内のお母さん方の愛情がたっぷり入った「けの汁」や、だまこ鍋をはじめとした心温まる昼食が振る舞われました。

「湯口内生活研究グループ」の漬物

 こちらにも、やはり色とりどりのがっこが!写真には納まりきれていませが、横にずらーっと並べられたんですよ。

「湯口内生活研究グループ」の山菜

 ミニ直売コーナーも、参加者の興味の対象となりました♪よどぎみは辻さんの庭で作られたキウイ、白菜のがっこ(漬物)、あいこの塩抜きしたものを購入。旦那様が山菜採りの名人だという、工藤ミサオさんは、「私は、もみがだ(山菜を塩で揉む作業)だ(笑)」とお話してくださいました。

 「湯口内生活研究グループ」の皆さん

 「湯口内生活研究グループ」の皆さん。

 たくさんの美味しいお料理と、ためになる知識をありがとうございました!この場をお借りして感謝申し上げます。温かい季節になったら、また遊びに伺わせてください。今回はちょっと掛け足でしたので、今度ゆっくり、色んなお話をしましょうね❤

 ★おまけ~湯口内編~

阿仁合駅前でのお雛様の展示

 実は、昼食の支度を待っている間、阿仁合駅前で行われていたお雛様の展示を見学。比立内の松橋旅館の古今雛や、マタギが狩った熊の毛皮や剥製なども展示されていました。

ないりっくんと記念撮影

 私たち一行を見て、わざわざ車内より出てきてくれた「ないりっくん」と、念願の記念撮影❤

 「ないりっくん」は、ふかふかして温かかったです(笑)。

トマトのコンポート

 トマトのコンポートがとても美味しかった♪

湯口内より見た内陸線

 湯口内より見た内陸線。偶然撮れました♪

 
 ゴンドラで行く森吉山樹氷鑑賞

阿仁の樹氷

 樹氷は、森吉山をはじめ、東北地方でも八甲田山と八幡平、蔵王と吾妻山などの限られた地域にしかできないそうです。積雪量やアオモリトドマツの自生など、樹氷ができる条件が限られているためです。

 森吉山のアオモリトドマツは、樹高が高いために特大(8メートル)程の樹氷ができるそうです。

 「対馬暖流から発生した冬でも10℃以上ある水蒸気が、シベリア方面より季節風に乗って森吉山の西斜面に当たって上昇、雪雲をつくります。雪雲の中には氷点下でも凍らない過冷却水滴が含まれており、アオモリトドマツに叩き付けられ一瞬で付着、凍結して樹氷ができる。その繰り返しで、樹氷は風上に向かって扇状に広がっていく」のだそうです(ネイチャーガイドの村田君子さんによる)。

阿仁スキー場のゴンドラ

 標高1,454メートルの森吉山頂へは、阿仁スキー場のゴンドラに乗って約15分かけて昇っていきます。ゴンドラ初乗車のよどぎみ。

阿仁・ゴンドラより

 標高500mまでは杉林、そこから1,200mまではブナ林が眼下に広がっています。雪桜をまとったブナの木が美しいです。

阿仁・樹氷

 樹氷総合案内所から5分ほど上っていくと、「樹氷平」と呼ばれる観賞コースに到着。そこでは、「モンスター」と呼ばれる大きく成長した樹氷が迎えてくれる…筈が、猛吹雪で視界は真っ白。めげずに樹氷平を歩き続けると、もやっとした巨体が目の前に…これが樹氷?!

 見通しの立たない吹雪の中、必死でシャッターを切りまくるよどぎみ。「無事に写っていますように…!」と念じながら。もはや、何を被写体にピントを合わせたのか、全くわかりません(苦笑)。それでも、何とかそれらしき物体をとらえた一枚。

ネイチャーガイドの村田君子さん

 ネイチャーガイドの村田君子さんが、樹氷の説明。「この、樹氷になりたての部分、エビのしっぽみたいでしょう」。一生懸命説明をしてくださったのですが、あまりの寒さに聞こえない部分も…。そんなわけで、樹氷の前で唯一撮った写真が、後ろ向きの集合写真(すみません…)。 

阿仁の樹氷の内部に入る

 阿仁の樹氷の内部に入る!この中は、風がないというだけで、ほんわり、温かい気がしました(それは気の所為、マイナス10℃以下です!!)

過冷却の実験をしてみせるネイチャーガイドの村田君子さん

 樹氷総合案内所に戻り、村田さんがミネラルウォーターのペットボトルを出し、過冷却実験。「純粋な水は、このように気温マイナス5℃以下でも凍りません。しかしボトルを叩いたり、蓋を空けたりして衝撃を与えると、一瞬で凍ります。この原理で、樹氷ができるのです」。

 このように樹氷の出来る仕組みを紹介する樹氷教室が、樹氷総合案内所で1日2回、行われています。

阿仁スキー場にて

 ご友人同士で参加された田崎貴恵さんと、品田道子さん。田崎さんは茨城出身、品田さんは神奈川からのご参加ということで、「窓の内側が凍ってるのなんて、初めて見た!さむいよー!」と言いつつも、初めて見る沢山の雪に感動し、満喫しているようでした。髪とまつ毛は凍れども、ふつうの水は凍らないほどの極寒の地で、自然の厳しさと美しさを同時に体感することのできる、またとない貴重な旅になりましたね!

  
 スノーキャンドルストリートin阿仁

スノーキャンドルストリートin阿仁

 この日の夜、阿仁合(水無・銀山)地区では、今年で7回目となる「スノーキャンドルストリートin阿仁」が行われました。ペットボトルに油性ペンで着色したエコキャンドルで、とても幻想的なスノーキャンドルマウンテンが出現しました。他にも、阿仁合駅周辺では多様な催し物が行われていたようです。

「スノーキャンドルストリートin阿仁」 「スノーキャンドルストリートin阿仁」
「スノーキャンドルストリートin阿仁」 「スノーキャンドルストリートin阿仁」

ホテルフッシュにて夕食

ホテルフッシュにて夕食。みなさん和気あいあいと談笑しながら、ホッと一息。

ホテルフッシュの夕食

 夕食のメニューはもちろん、地場産のものを多く使用した手作りの味

ホテルフッシュの菊地純子さん

 ホテルフッシュの菊地純子さんが、クウェート在住時の話などを聞かせてくださいました。

  
◆2日目行程 ……………………………………………………

  9:10 「道の駅あに」にてお買い物(チェンソーアート作品鑑賞)

 10:00 「打当温泉・マタギの湯」にてマタギ語り、かんじき歩き体験

 12:30 昼食(熊鍋とおにぎり・がっこ)、宝引き体験

 14:30 阿仁マタギ駅から阿仁前田駅まで内陸線乗車(車窓からの景色とアテンダントの案内)

内陸線の車窓から

内陸線の車窓から

 最後のマタギ・まごじい ~ 阿仁マタギの子孫・鈴木さんの話から ~

 2日目の朝は「道の駅あに」に立ち寄り、打当温泉・マタギの湯にてマタギ語りの後はかんじき歩き体験となりました。

 マタギ学校講師・自然観察指導員・ふるさとあに観光案内人も務める鈴木英雄さん(北秋田市狩友会役員)の祖父は、阿仁町打当のシカリで、マタギで生計を立てた最後の人である鈴木辰五郎氏(故人)。

 辰五郎氏は、「空気投げタツ」の異名をとる程の腕前を持ち、その名を轟かせたといいます。「空気投げ」とは、ドーナツ盤の中心に棒を刺したような「ワラダ」という道具をフリスビーのように投げ、鷹の羽音を演出し、獲物を追いこむ手法です。これを自在に操る猟を得意とした辰五郎さんから、英雄さんもマタギとしての教えを受け、今でも「まごじい」と慕っています。

 「猟をする前には必ず大山神の像にオコゼの魚の燻製を供え、モロビ(青森トドマツ)の木で身を清め、猟の安全を祈願した。オコゼは――その醜い姿から山神様が安心するということなんだべな――山神様は女性だから、ヤキモチ焼かねぇということだろう。そして、猟だ。マタギは獲物を討ち取った時のセリフを『ひょおどした』と言うんだが、まごじいは決まって『いい獲物、授かっだな』と言って獲物に対しても敬意を持って接した。仕留めた熊に対しては、供養と山の神への感謝を込め、独特の呪文を唱えた後、骨や内臓はシカリもシテも打ち手も、初めて猟をした若げもんも、仲間うちで均等に分けあったもんだ。皮と熊の胃だけは、入札により分けだな。熊の他にも兎や山鳥も獲ったりしたが、いずれもなるべく苦しめず、一撃で撃つことを信条としていた。最後の猟という時、比立内集落では最古参のマタギだった佐藤勝次郎さんが、本当は彼に熊のとどめを刺す大役をさせてやりたかったが、ぎりぎりのところで自分がとどめを刺すことになってしまった。結構しんどい猟だったため仕方のないことなんだが、心残りだと言っていだな。まごじいは、本当の意味で最後の敬愛するマタギだったと思う。腕は一辺倒なくせ、自分の活躍を誇示して観光ポスターか何かに使用されて有名になったようなマタギとは違うね。マタギは決して雄々しいだけの狩猟集団ではない。仲間うちを大切にし、獣に敬意を払い、自分たちの生活の基盤を、常に自然との共存で築き上げてきた。猟の規制や少子高齢化、さらにはこの経済成長により狩猟しなくても生計が立てられるようになって、めっきりと数は減ってしまった。新たに教えを請いにやってくる若者も皆無だから、そのうちマタギなんてものは消滅するだろう。が、私が生きている限りは、まごじいの話をとおしてマタギのことを伝えたいと思っているよ」と、自らもマタギの子孫としての誇りを語ってくださいました。

阿仁・熊鍋

 昼食として出された熊鍋をいただきながら、人間が動物を食べるということの意味や、本来の食の姿、ものが食べられるということの有り難さ、などを色々と考えさせられました。

マタギの子孫・鈴木英雄さん

マタギの子孫・鈴木英雄さん

ワラダ(左)と、熊の胆(右)

ワラダ(左)と、熊の胆(右)

 

「美の国秋田・桃源郷をゆく」内には、他にもマタギに関する記事がたくさんあります。興味のある方は、下記の記事もどうぞ!

マタギindex

1.狩りの文化

2.孤高の民・マタギ

3.マタギの里・阿仁町

4.山の神の恵み 

5.森の王者・熊狩り
6.滅びゆくマタギ文化

7.旅マタギの記憶「秋山紀行」

 

熊の爪で作ったストラップ

 「道の駅あに」で見つけた、熊の爪で作ったストラップ。こんなふうにアクセサリーとして使われる日が来るとは、当時のマタギは想像すらしていなかったでしょう。

かんじきトレッキング

 昼食と前後しますが、マタギ語りの後は鈴木英雄さんの指導のもと、打当温泉・マタギの湯横にある、雪に覆われた田んぼでかんじきトレッキング体験となりました。

かんじきトレッキング

 前日に引き続き、猛吹雪。皆さんかんじきの履き方に悪戦苦闘中…。

かんじき装着

 よどぎみも、かんじき装着!なーんて…実は英雄さんに履かせていただいたのでした(汗)。

阿仁・山の神の祠

 温泉施設の向かいには、祠が見えました。ここにも、山の神様が祀られているそうです。

かんじきトレッキング

 林の奥まで進むと、綿帽子のような雪の合間を流れゆく阿仁川を望むことができました。

 
  阿仁・根子に伝わる宝引き(ほうびき)

 かんじき歩き体験の後は、また打当温泉・マタギの湯に戻り、阿仁は根子集落に古くから伝わる「宝引き」体験が行われました。「宝引き」は、その場の人数分ある紐を、皆で同時に持ち、合図とともに引っぱり、一本だけ記された当たり紐を引き当てるという、くじのようなものです。

阿仁根子・宝引き

阿仁根子・佐藤ケイ子さん

 このくじ引きが、どのくらい昔からあるかと言うと、「私のおばあちゃんの世代は、品物でねぐて1円玉をかけてやってたよ。寛永通貨を使ってた時代もあったようだから、江戸時代かねぇ」と、佐藤ケイ子さん。

地元のお母さんたちが作ってくれたカゴ

 商品は、湯口内のお母さんたちが作ってくれたカゴなど。ひとつひとつ、丁寧に作ってくださったので、それぞれちょっとずつ仕様が違うんですよ!

 今回は全員が当たるようになっていたのですが、それを知らされていなかった参加者は、プチサプライズに嬉しそうにしていました。

  秋田内陸縦貫鉄道(通称:秋田内陸線)より景色を望む!

秋田内陸線-車窓からの景色

 阿仁マタギ駅から阿仁前田駅まで、内陸線に乗車し、車窓からの景色とアテンダントの案内を楽しみました。

秋田内陸線

 阿仁マタギ駅。ホームも雪に覆われてます。

秋田内陸線

 ホームに電車が入ってきた!

比立内橋梁から渓谷を望む

 比立内橋梁から渓谷を望む。比立内から奥阿仁間にある比立内橋梁は、内陸線屈指の撮影スポットとして知られ、地域の観光ポスターにも度々使用されています。

 

秋田内陸線

冬の渓谷美は、ものすごい迫力。

内陸線の車内

 マタギ語りの鈴木英雄さんが「先の勝次郎さんは、マタギは退いてしまったけれど今でも元気だよ。ひょっとすると、今日も内陸線に乗ってるかもしれない(笑)」と言っていたのを思い出し、思わず車内を見渡してしまったのでした。

 

内陸線観光アテンダント

阿仁合駅

阿仁前田駅にて

 1日目に湯口内に着いた時と2日目の帰り、まさに阿仁前田駅に着かんとする頃、太陽が顔を出し始めました。参加者からは「あ~」というため息とともに、「でも、晴れの日ばかりじゃないもんね。秋田の冬の厳しさを、肌で体感出来て良かったね」という感想も聞かれました。

 この2日間は、普段解ったつもりでいることも、実際に体験してみないと本当の意味では理解してないんだということに気付くことができた、自然の脅威と猛威と美しさを再確認できるツアーだったと思います。 

現地特派員 よどぎみ


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