~大竹の花紀行レポート~

「千年の村」に残る足跡―草花の姿に映る歴史の鏡

春の訪れを告げるアカバナミツマタ

民家の軒先にほころぶ梅

 ちいさな祠に

   寄りそうようにして咲く椿

 境内に続く階段脇に

   ひっそりと佇む猫目草

 

 

 村中に花の咲く樹木が多くあり、これらの花が一斉に咲き誇り、目を楽しませてくれる場所があります。

  周囲の散策をしながら春を楽しむ企画「千年の村・大竹の花紀行」が、にかほ市大竹の「ガーデンカフェTime」で行われました。

 

   

 10:00、村の案内人である「大竹カナカブの会」代表の佐藤金矢氏(写真左)とともに、Timeを出発。参加者は総勢13名、遠くは東京からいらっしゃいました(写真中央)。

 散策中はあいにくの雨にもかかわらず、皆さん終始にこやかな表情。

 「雨でもこの素敵な風景!」と、いうことです。

 須賀神社(約440年前の建立で、H3に焼失、H10に再建された)の鳥居の横にあるイチョウの大木。

 幹先が折り重なるような姿が珍しい。木の性別はメスだそうで、秋は銀杏が楽しみです。

 

 また、神社の横には風にそよぐレンギョウが。

 皆が「綺麗な黄色だね~」と言っている中、「漢方薬だ…」と目を光らせてしまったよどぎみでした。

 白山神社への参道。大竹村の起源は「寛治五年白山大権現古実鷲峯寺系図記録(白山神社所蔵)」によると、「1087年、加賀国(現:石川県)出身の三人兄弟が、わけあって浪人となりこの地に移住。長男(玄蕃)と二男(又三郎)は体力がすぐれており、農民となって田他の開拓に当たり、三男(重蔵)は体が弱かったので、平素信仰していた加賀「一の宮」の白山権現を勧請して山伏となり、岩本坊と号して鷲峯寺の開山となった。」とあります。仕事を分担しながら協力しあっていた、かつての兄弟の姿が目に浮かぶようでした。

 

 北の方角に向かって立つ五輪塔(写真左)。はじめ真言宗の鷲峯寺だったのが白山神社になった時、他の石仏と共に下に移動されたようです(本来五輪塔は、お寺にまつわる塔)

 各基部の意味は、角型は「ものを支持する地」、球形は「ものを収める水」、笠(屋根)の形は「ものを成熟させる火」、お椀の形は「ものを成長させる風」、最上部の宝珠形は「万物を創造する空」を表し、宇宙も生物もすべてがこの四元素から成り立っているという、天台・真言宗(密教)の思想によるもの。

 五輪の正面にはそれぞれ、梵字の種字「キャ(空)・カ(風)・ラ(火)・バ(水)・ア(地)」が。

 他は全て杉の木なのに、1本だけブナの木があります(写真右)。神社の御神木というわけではないようですが、不思議です。

 

 珍しい、和種いちじくの木(写真下)。昔、川にまたがった枝の先のいちじくに手が伸びず、何とかして取ろうと案を練った子ども達。金矢さんが、懐かしそうに当時の思い出話をしてくださいました。

 

 

 

 「才の神」(右写真)の神社の奥には「弁天沼」という輝く湖水があり、さらに奥は杉竹山道「熊野古

道」が続いています。今回は行くことが叶いませんでしたが、「夏にゆっくり散策がおススメ」と、カフェガーデンTimeの佐々木さん(どうでもいいことですが、水道管で作られた鳥居を見たのは初めてでした)

 昔はこのあたりでどんどん焼きをしていたそう。藁で組んだ小屋を焼くのが、子どもたちの楽しみだったとか。

 古峯神社。通称、坊主山というのが面白い。「木が生い茂っていないから」というのが理由だそう。

 山菜などが生えており、皆さん「我が家の山菜談義」と相成りました。

 

 高台からは、96戸の大竹集落の家々と日本海が見渡せます。

 もともと「金浦町」は、大竹・前川・赤石・金浦・飛・黒川の六つの村(旧六ヵ村)で構成されていました。

 そして、一つの集落ごとに独立しており、異なった文化で生活していたようです。

 食べ物一つとってもそうで、以前取材させていただいた「カナカブ漬け」が集落ごとに作り方が違うのは、そういった伝統に裏打ちされているからではないでしょうか。

 

…☆優美な御姿の葉衣観音立像☆… 

 241年前に地元の有力者、今野家と十八夜講中によって建立された葉衣観音立像は、1本の鳥海石で作られ、5メートルもの高さがあり、県内一の観音といわれています。

 言い伝えによると「今野与右衛門の娘が病弱のため、身体堅固の願いを込めて建立したもの」だそう。そのため女性の姿をしているんですね。優しい表情は、見ている方も穏やかな気持ちにさせられます。

 義経の祖父らが後三年の役で通ったとされる「鳥海小瀧道」は、鳥海山へと続く旧道。

 道標には「右」とあり、左側が空いています。

 この先は、道が二又に分かれているようです。

 

 その後の懇親会も、初対面とは思えない程の打ち解けようで、「ここで出逢えてよかったね」と言いながら会話に花を咲かせておりました。 

 山菜、花人参、サシボ、春のアンコウなど、地域で採れた材料を多く使った旬のメニューに、皆さん舌鼓を打っていました。

 斉藤みどり氏による秋田弁の「昔語り」は、「干支の話・ツツジ娘・若好みの婆」の3部。昔から知られているお話ですが、秋田弁独特の味わい深い表現は特に首都圏の参加者に大好評でした。

 こんなすてきな出逢いをくれた、ガーデンカフェTimeに感謝!

 「歴史をひもとく」とはよく聞く言葉ですが、村を築き上げてきた人達は、どうしてここにこの建物を建てたのだろうとか、どうしてこの木々を植えたんだろうとか、色々考えながら自分の足で歩き、この目で見ないと本当の意味で地域の歴史を感じ取ることができないと思っています。

 地域に想いを馳せ、「もっとこの地を知りたい」と心から思った時、昔の村の姿が、現実の風景とだぶって浮かび上がってくるような気がするのです。
 四季折々で植物が咲き誇る大竹に、是非足を運んでみて下さい!

県央地区担当 よどぎみでした。

 大竹村の起源に追記すると「長男は館森、二男は鷲ノ木沢の木ノ下付近に住んでおり、これらの地は一面に太いカラダケ(唐竹)が密生していたことから、「大竹」の地名となった」とあります。その、カラダケ(写真左)。

 

花まるっ協議会 会員情報

 ガーデンカフェTime
 住所 にかほ市大竹字前谷地131
 電話&FAX 0184-38-3537
 代表 佐々木 利子
 営業時間 10:00~16:30
 定休日 水曜日・木曜日
※通常の「こだわりおまかせランチ」は2,000円(要予約)ご希望の場合は夜の営業もいたします。