仙北平野は、扇状地帯の特徴からいたる所に多くの湧水が湧き、古くから地域の人々はこの湧水を農業用水や生活用水として利用してきました。また、抱き返り渓谷を水源とする田沢疏水や、古くから『水野目山』と呼ばれ、水源として人々に大切に守られてきた七滝山など、仙北平野は「水」にまつわる豊かな環境が育まれています。今回はここで暮らす人々の生活や文化、そして地域の歴史を知る旅の提案、そして県内有数のグリーン・ツーリズムのメッカでもあるこの仙北地域を楽しむ旅を提案します。

 

モデルスポット&コース

六郷湧水群・直売所「湧子ちゃん」七滝山と棚田・関田円形分水工千屋の並木道と坂本東嶽邸大台スキー場から眺める仙北平野造り酒屋見学自家製石釜で楽しむ手作りPIZZA~農家民宿・ファームinn緑の風~仙北ランチde蕎麦巡り~仙北そばカルテット~隠れスポット~八津・鎌足体験~むらっこ物産館池田氏庭園仙北の芸能(ささら・ドンパン踊り・六郷かまくら・上桧木内の紙風船)

六郷湧水群と手づくり工房 湧子ちゃん                                              

六郷湧水群

古来より百清水とも言われてきた豊かな清水(しず)の湧く里六郷は環境省の「名水百選」に選定され、藤清水や御台所清水、ニテコ清水をはじめ数多くの湧水が生活の中に息づいています・・・。

▲生活の中の一部となっている清水(しず)。

 ▲藤清水・・・昔は近くに三つの倉があり、三倉清水と呼ばれ、現在は藤の花が見事に咲くことから藤清水と呼ばれています

▲御台所清水・・・佐竹公が鷹狩りの際に料理用の水としてこの清水を使ったことからこう呼ばれています

手づくり工房 「湧子ちゃん」 

手づくり工房「湧子ちゃん」では農産物直売以外に、ニテコ清水や地元産大豆「リュウホウ」を使った寄せ豆腐「湧水豆腐」や「おからドーナツ」、さらにジェラートアイスも製造販売しています。湧水巡りの際には必ず立ち寄ってみたいスポット。

 

 

 ▲手づくり工房 「湧子ちゃん」の外観

  

 

▲様々な地場農産物や加工品が並んでいます。

 

 御台所清水~手づくり工房 「湧子ちゃ」んへのルート
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▲六郷湧水群マップ。かつてこの地を治めていた六郷氏や佐竹氏が招致した寺も多数あり、湧水とともに古寺巡りをして、自分だけのパワースポットを見つけてみませんか♪

七滝山と棚田・関田円形分水工

▲七滝山とすそ野に延びる美しい棚田。七滝山は「水源涵養(かんよう)保安林」と呼ばれ、下流域の重要な水源地としてすでに寛文3年(1663年)には七滝山が「禁伐林」として藩の保護下にあったことが知られています。現在は「秋田県七滝土地改良区」が所有し、54%が天然の広葉樹林で主にブナ、ミズナラ、トチ、ケヤキで構成される林。

 また、昭和13年に完成した「関田円形分水工」は下流域に旧7町村の農業用水を安定供給する施設で、当時最も進んだ方法で造られた施設と言われています。180もの孔から規則正しく流れ出る水の迫力と音色を持つこの歴史的な施設は、訪れる者を引きつける存在感があります。

▲ブナの大木 樹齢200年を超えるという大木も

▲実ったブナの実

▲見る者を圧倒する迫力のある水音が響き渡ります

▲規則正しい水の流れは美しささえ感じさせる・・・

湧子ちゃん~関田円形分水工~棚田&七滝山ビューポイントへのルート
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千屋の並木道と坂本東嶽邸               

  坂本理一郎(東嶽)は、文久元年(1861年)に千屋村(現美郷町千屋)に生まれました。上京し、慶應義塾で犬養毅と出会うなどした後、明治23年には、29歳で秋田県衆議院議員、明治27年には衆議院議員となりましたが、地方農村が立ち遅れていることを憂い議員を辞し、郷里で村づくりに情熱を傾けました。東嶽邸周辺には、一丈木公園のほか放射状に延びる松・杉並木の直線道路が配置され、田園都市を目指した面影を今でも見ることができます。

▲坂本東嶽が村づくりの中で配置した放射状に延びる6本の直線道路の一つ。当時植樹された松と杉の並木が整然と列をなしています。

▲紅葉が美しい坂本邸 現在は坂本家の遺族により家屋と庭園などが町に寄贈されています。現在見られる家屋と庭園は陸羽地震(真昼地震)後の明治30年頃に建造されたもので、庭園は当時のままの姿で現在に至っていますが、家屋は当時の4分の1程度となっています。母屋には、当時の家屋の写真が展示されています。

▲東嶽邸には、母屋のほか内蔵や茶室もあります。茶室は通常内部は公開していませんが、内蔵は公開していて重厚な蔵のつくりや貴重な骨董品を見ることができます。 

 

▽開館期間:4月~11月 

  開館時間:9:00~17:00 

  観覧料:大人210円・小中学生105円 

  TEL:0187-85-3008

 坂本東嶽邸と千屋松・杉並木へのルート

 
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大台スキー場から眺める仙北平野

 

▲ここ仙北平野の隠れた絶景スポットがこちら、大台スキー場からの眺め。仙北平野は「散居村」もしくは「散居集落」と呼ばれ、平野一帯の宅地が集村しておらず点在しているのが特徴の平野です。この大台スキー場の山頂からは平野の風景を独り占めすることができます。 夏場は展望場所までマイカーでも登ることができ、徒歩でも1時間程度で登ることができるので、ぜひ一度訪れてみたいスポットですネ♪

 

 

 

 

 大台スキー場へのルート

 
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酒蔵見学(鈴木酒造店) 

▲創業元禄2年。「秀よし」の酒名の由来は、秋田藩佐竹公により当時の秋田藩の御用酒「清正」に優るものと激賞され「ひでよし」(加藤清正が仕えた豊臣秀吉と、秀でて良しという2つの意味)を命名されたものと言われています。 


▲明治元年に建造された家屋と酒蔵は、厳かな雰囲気に充ち風格を感じさせます。また、家屋内の文庫蔵には鈴木家先祖伝来の所蔵品が展示されていて、ここも見学することができます。事前に予約をすることで社員の方が無料で蔵内を案内してくれて、最後は試飲もできるのがうれしいポイント♪

▽見学時間 9:00~12:00 13:00~4:00(事前予約が必要)   

  申し込みTEL: 0187-56-2121

自家製石釜で楽しむ手作りPIZZA

      ~農家民宿・ファームinn緑の風~

 

▲仙北平野を抜け、角館の郊外に野山と田んぼに囲まれたログハウスが見えてきます。ここがファームinn緑の風。樺細工職人でもある佐々木常安さん、和子さんご夫妻が営むステキな農家民宿。とても気さくで、晩ご飯を食べながら一緒に語り合いたいお二人。

▲宿泊と同時に、ここでぜひ体験してほしいのが佐々木さんが1年をかけて手作りした石釜でつくるピザ焼き体験。なんといっても、迫力のある本格石釜で、自分でピザ作りを体験できてしまうんですから♪自分で作ったピザ、これは誰がなんと言おうと絶品なんです。「百聞は一験に如かず」。

 また、近くに民家が無いので真夏の夜には宿の灯りを消してもらい、満天の星空を経験することもOK。1人で来ても、親子で来てもいろんな楽しみ方を提供してくれるのがここの魅力。

 

▲ファームinn緑の風に宿泊後、すぐに次の目的地に向かうのもいいですが、少し「緑の風」の周りをゆっくりと散策してみるのもまたグリーン・ツーリズムの楽しみ方の一つ。野山に囲まれた爽やかな朝の空気を吸いながら見てみたいのがこれ。宿から少し登った小高い丘の上にあるのがこのツリーハウス。これもオーナーの佐々木さんが作ってしまったもの。大きな栗の木の上に建てられたこのハウスに登ってみると、なぜか子どもの頃の「秘密基地」を思い出してしまう・・・。

農家民宿ファームinn緑の風の詳細情報はコチラ

大台スキー場~鈴木酒造店~ファームinn緑の風までのルート


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仙北ランチde蕎麦巡り~仙北そばカルテット~                                      

仙北市内には、自家や共同で栽培・収穫したそばを提供するお店が数店舗あり、特に以下の4店舗はオススメッ!!それぞれに特色をもっているので蕎麦巡りをして、「あなたの店」を見つけてほしい!!

▲そばきり「長助」の鈴木さん

 

▲「一助」の沢山さん 

 

▲手打「そばせん」の雲雀さん

 

▲「すが家」の菅原さん

 

▲十割そば2色盛り

営業時間など詳しくはコチラ

 

▲ぶっかけそば

営業時間など詳しくはコチラ

 

▲天ぷらそば(冷)

営業時間など詳しくはコチラ

 

▲十割てんぷらそば

営業時間など詳しくはコチラ

 仙北そばカルテット4店舗へのルート


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隠れスポット~八津・鎌足体験~                                          

 みちのくの小京都と呼ばれる「角館」から国道105号線に入り、車で北上することおよそ10分、集落もまばらになってきた頃、道路の左手を流れる桧木内川の向こうに「かたくり館」が見えてきます。この「かたくり館」のある集落は、八津・鎌足(やつ・かまたり)集落。ここの歴史は長く、「鎌足」の名からも想像できるように、飛鳥時代から中央との交流があったと伝えられ、集落には鎌足神社(御本尊:聖徳太子)、八津観音堂(創建714年)があるほか、かたくりの群落・大きさ日本一と言われる西明寺栗の里でもあります。かたくり館スタッフから集落のお話を聞いて散策してみたり、紙漉き名人佐々木茂徳さんから「鎌足和紙」の漉き方を教えてもらったり、魅力いっぱいの八津・鎌足集落に来てみませんか?

▲八津・鎌足集落の栗林に咲き誇る「かたくり」の群落。4月中旬~5月上旬にかけてが見ごろを迎える。

▽お問い合わせ:八津・鎌足カタクリ福寿草保存会事務局(かたくり館内):0187-47-3535

▲かたくりと共にこの集落は日本一大きい栗として知られる「西明寺栗」の里でも有名。栗拾い体験も可能。

▽お問い合わせ:

久之助栗園 電話:0187-47-2407
佐々木栗園 電話:0187-47-3046

▲八津鎌足集落の入り口にある「かたくり館」。春のカタクリ見学と秋の西明寺栗の販売時期になると遠方からも多くの方が訪れる

▲かたくり館では、名人・佐々木茂徳さんの指導による「鎌足和紙」漉き体験が可能。料金:500円

 

 

 ▲ステキなタッチで描かれた八鎌(八津・鎌足)お宝マップ 八津鎌足散策のおともにどうぞ♪

 

むらっこ物産館 

八津・鎌足集落から田沢湖に向かう途中にある直売所「むらっこ物産館」。ここでは種類豊富なとれたて野菜のほか、地元産のそばの提供、さらに「ほうれんそうソフト」や「栗ソフト」などわくわく直売所ショッピングを楽しむことができますヨ。そしてもちろん元気いっぱいの地域のお母さんたちに会っておしゃべりできるのも魅力。

 

池田氏庭園                                         

 ▲池田氏は、山形県の本間氏や宮城県の斉藤氏と並び東北三大地主として知られ、池田氏庭園は明治29年の六郷大地震で家屋が倒壊したことを契機に敷地を拡張し、大正時代に完成しました。敷地面積は4万2千㎡ほどもあり、庭園の周囲は堀や土塁で囲まれていて、上空からは六角形に見える敷地となっています。池田氏家紋の亀甲桔梗の亀甲をイメージして造られたと言われています。

高さ及び笠の径が共に約4mの日本最大級の巨大な雪見灯籠や、県内最初の鉄筋コンクリート造の二階建て洋館が現存しており、この洋館は私設の図書館として利用されていたそうです。

▽池田氏庭園は年数回の特別公開を行っており、平成22年の園内公開日は以下の通りです。

  特別公開日 : 平成22年6月5~6日、8月29日(大曲の花火・全国花火競技大会の翌日)、11月6~7日

 池田氏庭園の位置


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仙北の芸能       

仙北には、「ささら」や六郷のかまくらなど数多くの民俗芸能・祭があります。今回はその一部を紹介します。

ささら(仙北各地域)

「ささら」は佐竹氏が秋田に国替えとなった際に伝えられ、五穀豊穣や悪霊払いを祈願する盆行事として今日まで伝えられています。梅沢ささら(旧田沢湖町) 、小山田ささら(旧西木村) 、白岩ささら(旧角館町)、広久内ささら(旧角館町)、長野ささら(旧中仙町)、東長野ささら(旧中仙町)、 国見ささら(旧太田町)横沢ささら(旧太田町) 堀見内ささら(旧仙北町)など、仙北各地に伝わっています。

ドンパン踊り(大仙市中仙)

ドンドンパンパンドンパンパン~♪の歌い出しで始まる「ドンパン節」。全国的にも有名なこの唄は、元々「円満造(えまぞう)さん」と呼ばれ親しまれた髙橋市蔵という大工による作で、その名から「円満造甚句」と呼ばれています。中仙地域では、この「ドンパン節」発祥の地を広く知ってもらおうと、昭和60年から「ドンパン祭り」を開催しています。

 

 

六郷のかまくら(美郷町六郷)

国の重要無形文化財に指定されているこの行事は毎年2月11日から5日間に渡って行われ、蔵開き(鏡開き)、天筆、鳥追い、天筆焼き(ドンド焼き)・竹打ちの一連の行事のことを言います。最終日の15日の竹打ちは全町を南軍・北軍に分けて、両軍の勇士が壮絶な竹の打ち合いを繰り広げます。この竹打ちでは北軍が勝てば豊作、南軍が勝てば米の値段が上がると言い伝えられています。

上桧木内の紙風船(仙北市西木)

江戸時代の科学者、平賀源内が銅山の技術指導に訪れた際に熱気球の原理を応用した遊びをして伝えたともいわれるこの行事。五穀豊穣や無病息災な、家内安全などの願いを紙風船に託し、天に声が届くように真冬の夜空に打ち上げます。