東成瀬伝統行事体験ツアー

平成26年2月8日(土)開催
主催:日本一美しい村づくり東成瀬協議会
平成25年度 都市農村共生・対流総合対策交付金事業

 冬の東成瀬村を目的地に、伝統行事を体験し、学ぶツアーが開催されました。秋田市発着のバスは、積雪量240cm(2月8日開催時)の同村 椿川地区を目指します。同じ県内であっても地域によって環境が異なるように、受け継がれてきた伝統行事も異なります。東成瀬村ならでは、冬ならではの一日をご紹介します。

 

※本ツアーは、日本一美しい村づくり東成瀬協議会の構成会員:エスコーター岳遊会、仙北道を考える会のメンバー(=ガイド養成講座受講生)が企画し、実施いたしました。

 

◆行程 ………………………………………………………

秋田県庁・秋田駅東口出発 → 道の駅十文字 → まるごと自然館(餅つき、雪中田植え、ホケキョ餅づくり、昼食、昔語り) → 道の駅十文字 → 秋田駅東口・県庁

 
東成瀬村へようこそ!
 
バスがまるごと自然館に到着。閉校となった旧椿川小学校を利用した公共施設です。   左から、備前源一さん(まるごと自然館)、谷藤友子さん(エスコーター岳遊会)、佐々木友信さん(仙北道を考える会)
     
 

今年度3回目となるツアー(都市農村共生・対流総合対策交付金事業)には、リピーターの方も多く参加しています。

 

お馴染みの現地スタッフの皆さんとの再会の場面では、「また来たよ」とすっかり打ち解けてお話されている様子も。

     
餅つき
 
はじめに、今回のツアーには欠かせない餅をつきました。村の備前ムツさん(左)を中心とする元気な掛け合いは、見ている方まで楽しくなります。   周りの皆さんが掛け合いの言葉をかけてくれますが、あれれ?タイミングが難しいですね。
     
 
相の手(返し手)に挑戦する参加者の方も!今でも餅つきをする機会があるそうで、お見事でした。   つき手に挑戦!最初はお互いにタイミングを取るのが難しそうでしたが、後半は息もぴったり!程よくつきあがりました。
     
 雪中田植え
   

雪中行事とは・・・
雪中田植えは、小正月の農事に関わる予祝行事です。「見立て田」は、東南向きが良しとされ、“みづき”や“ホオノキ”などの枝を林に見立てて雪の上に刺し、しめ縄を張り巡らします。稲や大豆に見立てた“”わら”や“豆がら”を植えて、一週間後に作占いを行います。

 
 

(写真上)佐々木さんと並んで蓑(みの)をまとい、慎み深く雪の田へと足を踏み入れます。

 

 

参加者の皆さんも、藁の束を慎重に雪の中に埋めました。1年(12ヵ月)が無事に過ごせるようにと、この地域では12株を植えるそうです。

しめ縄には、煮干しと紙垂(しで)。

     
 
「大豆のような大きな粒の米ができますように」と大豆や塩、水をまきます。農作に限らず、衣食住に関わる願い事をするそうです。そして、 全員で田に向かって手を合わせました。
 

東成瀬村では、この体験を同じく地元の小学生にもさせているそうです。


「子どもたちが大きくなって、村を出て都会に行ったとしても、きっとこの体験は思い出に残るはず。いつでもふるさとを

思い出してもらえるように」と佐々木さん。

 雪中田植えの占い結果 

この日から一週間後、佐々木さんから雪中田植えの占い結果のご報告を受けました。
以下、寄せられたメッセージです(一部抜粋)。

 2月14日(金)9:30より、神拝作法で豊作を祈願したのち、12株を1株毎に作柄を占いました。

 12株中、6株は適度に穂先が「たわわ(穂先がしなった状態)」になっていました。5株は、少々たれた程度で、残り1株は根元からではなく、中ほどから折れ、多少倒伏の状態でした。大雪に「ケガチ(不作、凶作)」なしとの言い伝えと、多少雨が降ると野ねずみが少ないと言われており、それを信じたい。

 占いは総合的に残念ながら大豊作とは言えないが、平年作とも出た。風水害、品種、水の管理など、細心の注意の心がけで豊作を期待したい。

 さて結果はいかに。皆さんも、この占い結果を見て豊作を祈願してください。

     
ホケキョ餅づくり
 
ホケキョ餅とは・・・
稲穂餅とも言われる、この地域ならではの干し餅です。この時期に作って、寒いところに吊るして干します。「早く食べたい」とせがむ子どもに、「ホケキョ(うぐいす)が鳴くまで(=春まで)待って」と言ってあやしたことから、ホケキョ餅と呼ばれるようになったそうです。
 
 
小さい団子状の餅を、細く綯った縄に挟むようにくっつけて作ります。餅の大きさや間隔を揃えるのが難しいようです。「ホケキョが鳴くまで待てるかしら…」と参加者の皆さん。
 
お昼ごはん

お待ち兼ねのお昼ごはん。みんなでついた餅を黄な粉餅とおはぎ、すまし餅にしていただきました。
 
 
     
  
 

 
いぶりがっこや茄子の花ずしなど漬け物類、きんぴらごぼうの寒天など、郷土料理が並びました。「やっぱりもう一つ食べたいわ」と、箸がついつい伸びてしまうご様子(^^)
 
 

 お昼のひとコマ① 

神仏へのお供え物で、皆さんも輪切りにした大根にロウソクを立てていませんか?これは、「火をつけっぱなしにしても大根の水分で自然消火ができるように、という昔の人の知恵」と佐々木さん。なるほど!

 

 お昼のひとコマ② 

お昼のおかずにいただいた、「きんぴらごぼうの寒天」を気に入った参加者の皆さん。なんでも寒天にしてしまう県南の食文化に触れて、作り方を教わっていました。

 
なるせの昔っこ
ツアー最後の行程は、東成瀬昔っこの会の皆さんによる「なるせの昔っこ(昔語り)でした。笑いが絶えない話もあれば、70年以上も暗記しているという教育勅語が語られる場面もあり、村の風習や民話、歴史に触れられました。
 
   
     

東成瀬昔っこの会の皆さん

 
 

☆ツアーを終えた皆さんの感想を一部ご紹介します。

・つく前の蒸かしたばかりのもち米を60年ぶりに口にしました。本当に幸せでした。甘くて香りの良いもち米を食べることができて感動。

・雪中田植えについて、テレビのニュースで見たことはありましたが、昔からの行事に直に触れることができた貴重な体験でした。

・東成瀬村、大好きです。伝統行事を体験し、地元の人たちと話をして交流でき、ツアーでなければできないことがたくさんあります。次回も楽しみにしています! 

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ツアーを終えた帰りのバスでは、

「人口3千人に満たない村で、人々は厳しい環境の中でどうすれば生きていけるか、
自然を活かす考えを自ずと学んできたのだろう」
というお話をされました。

 

雪でさえも自然の恵み。憎まずうまく付き合わなければここでは暮らしていけません。
学びの多いツアーでしたね!ご参加された皆様、ありがとうございました。