雪国の野草図鑑その1    雪国の野草図鑑その2

ドクダミ、バイカモ
▲ドグダミ・・・日向より陰地を好み群生する。草全体に独特の悪臭があり、有名な民間薬草の一つ。6~7月頃、白い4枚の花を開き、中央に淡黄色の小さな花が円柱形に集まって咲く。 ▲バイカモ・・・漢字にすると「梅花藻」。花の形が梅の形に似ていることから、この名がついた。バイカモは清流にしか育たない植物、それだけにトノサマガエルも幸せそうだ。
ギンリョウソウ
 薄暗いブナ林の下に自生している。葉緑素も葉もない変わった植物。和名は「銀竜草」と書き、白い竜の形に見立てたもの。一見、数本のローソクでてきたような花にも見える。
ショウキラン
 葉緑素を持たないランの仲間で腐生ランの一つ。暗い沢沿いに咲いているだけに、見つけると、ほのかに光っているように見える。暗いため、ついついフラッシュ撮影をしてしまうが、不自然な写真になることが多い。
オドリコソウ、ラショウモンカズラ
▲オドリコソウ・・・花は筒状の先が上下に分かれ、大きな上唇と下唇の独特の形をしている。この形が笠をかぶった踊り子に似ることから名付けられた。 ▲ラショウモンカズラ・・・大きな紫色の花を多数つける。名の由来は、京都の羅生門で切り落とされた鬼女の腕に似ていることからという。
イワキンバイ(岩金梅)
その名のとおり、山地の岩上に生え、艶やかな黄色で彩りよく目立つ。
岩肌を削った林道沿いの岩場などでよく見かける。
一見、エチゴキジムシロの花に似ているが、黄色の5弁花を集散状につける。
エチゴキジムシロ
黄金色の花の形が大きく、リュウキンカの花を想わせる
日本海側の山地に生える。
オオバミゾホオズキ
飛沫を浴びる湿っぽい岩場に大きな群落を形成し、実に美しい。
特に湧水や清冽な小沢が合流する地点、階段状のゴーロ連瀑帯の飛沫を浴びる岩場などでは、天然盆栽のように美しい群落を見掛けることが多い。
ノビネチドリ、イワカガミ
▲ノビネチドリ・・・美しい大型のラン。群落はつくらないが、点在して咲いている。花穂の様子が群れる千鳥に見立てて名付けられた。 ▲イワカガミ・・・山地の岩場や高山の草地に生える。葉は円形で光沢があり、これが和名のもととなっている。
マイヅルソウ(舞鶴草)
名の由来は、葉を二個広げた姿を鶴の舞う姿にたとえた。
卵心形の若葉(左の写真)は、光沢があり美しい。
白色の小さな花を多数総状につける。
スダヤクシュ、ヤグルマソウ
▲ズダヤクシュ・・・花は白いガク片で、斜め下向きに咲く。特に茎の先端に数十個もの花をつけ美しい。葉は浅く5列する。 ▲ヤグルマソウ
最大の特徴は、葉がでかく、5つの葉が鯉のぼりに添える「矢車」に似ていること。花は白花を円錐状に多数付け、美しい。林道沿いや沢筋の薮の中で良く見掛ける大型の草花。
サンカヨウ
 丸い大きな葉の割には、花が小さく可憐な印象を与える。近付くと、透き通るような白さが際立っている。それにしても一株から10個もの白花をつけるとは・・・。花弁は6個。花が散ると藍色の実(右の写真)をたくさんつける。ブドウのような甘酸っぱい味で美味い。
▲センジュガンピ・・・白色の花弁の縁がギザギザになっていて、一見風車を連想させるような特徴的な花である。 ▲ヤナギラン・・・葉が柳の葉に似ていて、長い穂に多数の花をつける。高さ1mほどと大形。
▲タニガワコンギク
沢沿いの岩場に群生する。夏の渓を彩る代表的な草花。
花は紫色を帯び、葉先はとがり、鋸歯がある。
夏山のお花畑
▲風衝草原のお花畑から和賀山塊・薬師岳を望む(1218m、7月中旬)
 左の尾根は、秋田県・袖川沢(右)と岩手県和賀川の分水嶺。風がよほど強いと見え木が育たず草原となっている。こうした草原を風衝草原と呼ぶ。
▲風衝草原のお花畑から袖川沢と仙北平野を望む

▽秋田・花の山、湿原
田代岳・田代湿原、藤里駒ケ岳・田苗代湿原、森吉山、八幡平、乳頭山・千沼ケ原・田代平、大白森・小白森、秋田駒ケ岳、和賀山塊・薬師岳・羽後朝日岳・和賀岳、鳥海山、虎毛山、栗駒山など
ニッコウキスゲ
夏山定番の花。ゼンテイカ(禅庭花)とも呼ばれている。山地や高山の草原に群生する。
花は漏斗状の鐘形で、3~4個、下から順に咲く。
花の色は、バックの深緑に映える鮮やかな橙黄色あるいは山吹色。
花は一日花で、朝咲いた花は夕方には閉じてしまうという。
それでもツボミが次から次へと咲き、花期は意外に長い。
コバイケイソウ
▲コバイケイソウの群落(八幡平北ノ又沢源頭の湿原)
山の神様が創った秘境の花園は、静寂と神秘的な美しさに満ちている。
▲神田・・・かつて百姓は講中をつくり、鳥海山や太平山などに豊穣祈願の登山をした。また日照りが続くと雨乞いに山へ登り、かがり火を焚いた。田代岳(1,178)では、湿原に点在する約120の池塘を「神の田」と称し、そこに自生しているミツガシワの花のつき具合や根の張り具合などの生育状態、池塘の水の張り具合で、その年の稲作の豊凶を占う伝統的慣習が伝承されている。
▲残雪のある春、コバイケイソウの若葉 ▲7月、標高1400m前後の湿原に咲くコバイケイソウの群落
 夏の湿原は、まず白のコバイケイソウが咲き、それが終わりかけるとニッコウキスゲが咲き始める。高山や深山の湿原に群生する。茎の高さは1mほどになる。花期は6~7月。

その他の高山植物
▲ワタスゲ・・・湿原を渡る風になびき美しい。
ワタズケの白綿は、花ではなく、花が終わった後に出る果穂。
▲ハクサンシャクナゲ・・・別名「シロバナシャクナゲ」と言われる。花冠の内側に淡い緑色の斑点があるのが特徴。高山の針葉樹林内に生え、高さ1~3mになる。夏、枝先に白色~淡紅色の花を5~15個咲かせる。 ▲ミヤマキンポウゲ・・・金属光沢のある黄色の5弁花で、雪渓周辺でしばしば大きな群落をつくる。
▲ハクサンチドリ・・・名の由来は、千鳥の飛ぶ姿に似ていることによる。花は紅紫色で、茎の先端に多数が総状につく。 ▲トキソウ・・・薄いピンクの花を1個つける。背丈が小さく、湿原の草に隠れてしまうので見つけにくい。これより少し大きく紫色の花をつけるのがサワラン。
▲カラマツソウ・・・和名は唐松草で、花の姿がカラマツの葉を思わせることによる。 ▲レンゲツツジ・・・ツツジの中では花が大きく、湿原を朱橙色に染める。日当たりの良い高原や湿原に生える落葉低木。方言では、ウマツツジ、ベコツツジ、ドクツツジなどと言われる。
▲湿原には、所々に小さな沼が点在し、それが「神田」のように見える。その神田の周りを埋め尽くしているのはイワイチョウ。葉がイチョウの葉に似ているのが大きな特徴。長く伸びた茎の先端に白い花を数個咲かせ、風に乗って楽しそうに踊っていた。神田の中に生えているのは、ミヤマホタルイ。
▲食虫植物・モウセンゴケ・・・上の「神田」周辺に群生していたモウセンゴケのアップ。モウセンゴケの先の丸く膨らんだ所に、小さな虫が触れると、粘液を出して虫を捕らえる。虫を捕らえると、腺毛は曲がり、葉と一緒に虫を包み込み消化吸収するという。
▲シナノキンバイ・・・花は橙黄色のガク片が5~7枚、葉は細かい切れ込みがたくさんある。ミヤマキンポウゲと似ているが、こちらは花が小さく梅の花の形に似ている。 ▲ガクウラジロヨウラク・・・高山の湿り気のある草原や湿原に生える落葉低木。釣鐘状の紅紫色の花をたくさんぶら下げて咲く。
▲ヤマブキショウマ・・・糸状に見える花は、チダケサシやヤグルマソウ、オニシモツケに似ているが、葉が卵形で先が尾状に鋭く尖っているが特徴。
▲ヤマルリトラノオ・・・トラの尻尾のような花は、クガイソウと似ているが、葉が二枚向き合って付いている点が決定的に違う。 ▲ヨツバヒヨドリ・・・細長い葉が3~4枚、輪生するのが特徴。花は白色、まれに淡紅紫色で、茎頂に散房状に密につく。
▲オオカサモチ・・・シシウドやミヤマシシウド、ハナウドなどと似ているが、判別の決め手はやはり葉の形。小葉や採集裂片が鋭く切れ込むのが特徴。白い小さな5弁花を多数つけ、全体的な姿が傘のような姿をしている。 ▲シロバナニガナ・・・茎は上部で枝分かれし、白い小花を8~11個つける。黄色の花を咲かせるハナニガナに似ている。
▲ゴゼンタチバナ・・・登山道でよく見掛ける代表的な高山植物。白花4枚が十字に並んで咲く。葉は広い卵形で、6枚輪生するものに花がつく。4枚のものには花がつかないとか。
▲ハクサンフウロ・・・紅紫色の5弁花で美しい。葉は、掌状に5裂し、ニリンソウやトリカブトの葉に似ている。 ▲タカネアオヤギソウ・・・花は黄緑で、茎の上部に小花を多数つける。葉は長い被針形で、茎を包むように下に集まる。
▲イブキトラノオ
ニッコウキスゲに負けないくらい背が高く、白から淡い紅色の花穂もでかい。
山地から高山の日当たりの良いやや湿り気のある所に群生する。
▲トウゲブキ・・・葉はフキの葉のように丸く大きい。黄色の花も一際でかく、ニッコウキスゲの大群落の中でも特に印象に残る花の一つ。
▲オニシモツケ・・・山地の谷沿いに群生し、高さ1~2mにもなる。茎の先に白色の散房花序をだす。 ▲オオバキボウシ・・・淡紫色の筒状鐘形の花を総状につける。大きな葉は、卵状楕円形で、基部は心形であるのが特徴。
▲イワベンケイ・・・岩場にたくましく生きる姿から「弁慶」の名がついた。多肉質の葉に水分を蓄える。 ▲タテヤマウツボグサ・・・亜高山帯~高山帯の草地に生える。和名は、花穂を矢を入れる靫(ウツボ)に見立てたもの。
▲ツバメオモト・・・亜高山帯の針葉樹林内に生え、白色の花を数個つける。葉は倒卵状の楕円形で厚く大きい。 ▲ミヤマシシウド・・・雲海が流れる花園に一際大きく目立つ花。高さは0.5~1.5mにも達し、蜂や小さな虫たちが大型の花に甘い蜜を求めて群がる。
▲ハクサンイチゲ・・・積雪の多い日本海側では特に大きな群落をつくることで有名な高山植物。羽後朝日岳では、雪が解けた後、比較的乾燥しがちな草原に大きな群落を形成していた。 ▲ハクサンシャジン・・・山野に生えるツリガネニンジンの高山型。花は淡い紫色で、鐘形の花を数個づつ輪生するため、一見2~3段の花輪をつけたように見える。白花は、シロバナハクサンシャジンという。
▲ミズギク・・・花の最盛期が終わった夏の湿原に群生する様は美しい。八幡平八瀬森山荘がある標高約1130mの湿原では、湿り気の多い沼周辺に大きな群落をつくる。
▲ミヤマウスユキソウ・・・その名のとおり、中央頭花を取り囲む白色が薄っすらと雪を被っているように見える。東北の山には、ミヤマウスユキソウ、ハヤチネウスユキソウ、ミネウスユキソウが自生している。
▲ゴマナ・・・八瀬森湿原(標高1130m)の湧水路沿いに群生していたもの。一般に9月以降に見られる花だが、標高が高いせいか、咲くのが早い。葉は細長く、粗いノコギリ歯がある。 ▲ナガボノアカワレモコウ、ナガボノシロワレモコウ・・・枝先に、白緑色と紅紫色の二種類の花穂をつけるワレモコウ属の花。夏花の最盛期が過ぎた湿原では、やたら背が高く目立つ。
▲コウメバチソウ・・・ウメバチソウの高山変種で、白色の花は、ウメバチソウより小さい。 ▲ウメバチソウ・・・白色の花は、梅の花に似ている。湿った草原の夏~晩秋を飾る花。
▲イワイチョウ・・・亜高山帯~高山帯の湿原に生え、花は漏斗状で5つに深く裂ける。
▲コケモモ・・・亜高山や高山で見かける常緑小低木。鐘形の小さな花をつけ、ピンクから白まで花の色の変化が多い。実は酸味があり、ジャムや果実酒などに利用される。 ▲クガイソウ・・・山地の日当たりの良い草地や谷沿いに群生し、葉が4~8枚、輪生する。茎の先の花は、トラの尻尾に似た青紫色の花をつける。
▲ムシャリンドウ
 一見、ウツボグサに似ているが、光沢のある葉や花冠が先端で急に膨らむ花の形が違う。遠くから眺めると、確かにリンドウのような花にも見える。
▲エゾリンドウ・・・花が茎の頂だけでなく上部の葉の脇につく。これに似たオヤマリンドウは、花が茎の頂に集まって咲く。花屋で売られているリンドウの栽培品は本種。
気軽に鑑賞できる花の湿原
▲八幡平・大場谷地、ニッコウキスゲの群落

▽気軽に鑑賞できる花の湿原
刺巻湿原(仙北市田沢湖町)、カタクリ群生の郷(仙北市西木村)、八幡平・大場谷地・大沼~大谷地~ブシ谷地(鹿角市)、空吹湿原(仙北市田沢湖町)、芝谷地(大館市)、加田喜沼湿原(由利本荘市)、中沢湿原(大仙市)、大浦沼(大仙市)、

鳥海山南由利原ミズバショウ群生地・大谷地池・冬師湿原・中沼(由利本荘市)、竜ケ原湿原~御田(由利本荘市)、獅子ケ鼻湿原・大清水湿原(由利本荘市)、刈女木湿原(羽後町)、栗駒山・須川高原の湿原群(東成瀬村)など
▲羽後町刈女木湿原の固有種・ガリメギイヌノヒゲ・・・刈女木湿原の標本に基づき新種として記載発表された。短い地下茎をもち、多くは2果室であることが特徴とされ、他の地域では発見されていない。花期は8~9月。

 刈女木湿原は、看板のある駐車場から農業用ため池の管理道路を歩いて約10分程度と近い。ガリメギイヌノヒゲの固有種をはじめ、湿生植物が豊富。以下に代表的な草花を掲示する。
▲ザゼンソウ ▲トキソウ ▲レンゲツツジ
▲ノハナショウブ
▲リンドウ ▲サワギキョウ ▲ミズギク
 ミズギクは、湿地の開発とともに消滅しつつある植物の一つで、各地で自生地が減少しているという。それだけに、こうした身近な湿地で観られるのは貴重である。

▲フキユキノシタ
 渓流沿いの絶えず湧水が滴る岩場に群生する。光沢のある葉はダイモンジソウと似ているが、葉の縁に鋸状の切れ込みがある。白い小花を多数つけた群落は、清涼感を誘い美しい。
▲キヌガサソウ・・・本州固有の種で、日本海側の多雪地帯に分布。和名は、輪状に広がる葉を、貴人にかざした衣笠にたとえたもの。8枚の花は、初め白色からピンク、淡緑色になる。 ▲キンバイソウ(金梅草)・・・その名のとおり、黄金色の梅に似た花を咲かせる。一般に山地から亜高山帯の草地、林縁に生えるが、上の写真は標高約900mの源流部に咲いていたもの。
▲チョウジギク・・・沢沿いの湿った岩場などに群生し、白い綿毛を密生した花の形は、独特で印象に残る草花である。 ▲ジャコソウ・・・山地の谷間の湿り気のあるところに生え、1~3個の紅紫色の唇形の花をつける。
▲ソバナ・・・花の形がジングルベルの鐘のように連なり美しい。
名前の最後の「ナ」は「菜」の意で、若芽は山菜として利用されている。
ダイモンジソウ
初夏から夏にかけて、光沢のある瑞々しい若葉は、清冽な飛瀑と併せて涼感を誘う。 秋の渓流を「大」の字に彩る美しい花
ダイモンジソウは、一般的に9月頃に咲くが、
標高1000mを越えると、8月中旬頃から「大」の字に咲く(八幡平、関東沢源流)
美しい猛毒・トリカブト
 かつてアイヌの人たちが、トリカブトの根からとった毒を矢につけて、ヒグマを捕ったというほど猛毒。雪国では「ブスシドケ」と呼ばれているが、「ブス」とは毒のことである。
▲オクトリカブト(花期8~10月)・・・ヤマトリカブト群の一つで、北日本に分布。世界で二番目に毒性が強いトリカブト。
参 考 文 献
山渓ハンディ図鑑2「山に咲く花」(山と渓谷社)
「奥羽山系 雪国の草花」(雪国の草花刊行会)
「樹木図鑑」(日本文芸社)
山渓カラー名鑑「日本の高山植物」(山と渓谷社)
「花の百名山 登山ガイド・上」(山と渓谷社)
「ひとめで見分ける320種 ハイキングで出会う花 ポケット図鑑」(増村征夫著、新潮文庫)
「ひとめで見分ける250種 高山植物ポケット図鑑」(増村征夫著、新潮文庫)
「北とうほく花の湿原」(日野東、葛西英明著、無明舎出版)
「秋田農村歳時記」(ぬめひろし外、秋田文化出版社)
「田代の行事食」(田代婦人部、平成6年3月4日)

 

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