横手かまくら祭り

雪でできた小さな家を作るかまくら作りは、雪国の代表的な雪遊びのひとつです。そのかまくらの発祥の地、横手市では毎年2月に、市内に100基以上ものかまくらが作られる「横手の雪まつり」が開催されます。かまくらの中では子どもたちが七輪を囲い、訪れる人々に焼き餅や甘酒を振る舞います。雪で作られたかまくらの中は寒そうに思えるが、実は意外と暖かいのです。「どうぞ入ってたんせ〜」という声に誘われて入ってみれば、心も体もほっとする空間が迎え入れてくれます。かまくら職人が作る大きなかまくらに加えて、いくつかの会場では、地元の小学生が作ったたくさんのミニかまくらがずらりと並んでいます。暗くなり小さなかまくらにろうそくが灯されると、言うまでもなく、そこには幻想的な雪の世界が広がります。ミニかまくらの中をのぞいてみると、かまくらを作った子どもたちの願い事がひとつひとつ書かれています。彼らの無邪気な夢や純粋な願い事を覗いて回るのもなかなかおもしろいです。

横手のかまくらには450年以上もの歴史があると言われています。雪の多く降るこの地域では昔から定番の遊びだったのかもしれないが、この雪まつりでのかまくらの中には水神様が祀られています。市内ではかつて水に苦労することが多かったことから、水に感謝するという意味で、水神様を祀っていたそうです。そのような背景から「かみくら」が転じて「かまくら」になったとも言われています。また、武家の地域では、四角く作った雪の箱の中に正月飾りなどを入れて焼く風習がありました。諸説あるようですが、横手の鎌倉は、人々と雪との様々なふれあいが融合して作られました。

横手のかまくらは時代とともに少しずつ変化を遂げているようです。以前はかまくらといえば屋根の部分は雪ではなく筵を用いていました。近年は道路環境に合わせて少しスタイリッシュな形のかまくらが作られるようになりました。また、横手の雪を他県や海外まで運び、横手の職人の手でかまくらを作るということも行われるようになりました。横手のかまくらはそのような変化の中で、昔から続く人々と雪との関わりを伝え続けています。

私は横手の雪まつりに行くのをずっと楽しみにしていました。秋田に来るまではかまくらが一体何なのかすら知らなかったのに、それを地元の人たちと経験できたのは素晴らしい時間でした。私と私の友人をかまくらの中に招き入れてくれて、温かいココアと一緒に会話を楽しみました。秋田の人たちがみんな優しく歓迎してくれるのにはいつも驚かされます。そう感じられる機会をもらえることにはとても感謝しています。