秋田県内を電車やバスで移動していると山々にまっすぐ伸びる一種類の木をよく目にします。それは秋田杉と言って、日本の三大美林の一つと言われています。昔、豊臣秀吉が城を建てる際に使用した木として有名になり、一時期は資源の枯渇危機にも見舞われるほどでした。その後も、秋田の日本酒を保存する樽としてや、お弁当箱などにも使用され、今でも人気を誇っています。

私たちがよく目にする秋田杉の多くは人工的に植林されたもので、一定期間育てて、伐採しますが、山の中や、神社などには天然の秋田杉も数多く残っており、中には250年を超えるものもあります。特に神社ではご神木と言って、その神社のシンボルとして、地域の人々に親しまれています。

秋田杉の特徴は秋田県の天候に大きく関係しています。写真は秋田杉の断面図です。年輪と呼ばれる層が見えます。これは、春から夏にかけて大きく成長し、冬の間成長が遅くなることで木に線ができます。この線を数えると木の年齢が分かります。秋田杉の特徴は冬の寒さから、1年で成長する層が他の地域の木に比べて薄いことです。このことが秋田杉の強度を強くさせています。

最近になって人気が出てきたのが秋田杉のカヌーです。強度はもちろん、加工のし易さからカーブを持つカヌーにぴったりの木として活用されています。秋田杉のカヌーは秋田県の能代市で作られていて、廃校になった小学校を再利用しカヌー工房として使っています。カヌー作成キットが用意されていて、誰でもここで教えてもらいながら自分のカヌーを作ることができます。秋田杉の主な産地である能代市で、秋田杉の木工品作りを体験できます。今回作成するのは、ペア動物の置物とサクラの形をした鍋敷きです。体験では伝導糸鋸とドリルしか使わず、先生が丁寧に教えてくれるので、だれでも簡単に作ることができます。最初に木材に作りたいものの台紙を張り付け、台紙に沿ってドリルで穴をあけたり、糸鋸で切り込みを入れていきます。形をくりぬいたら、全体をやすり掛けして完成です。作った作品はもちろん持ち帰ることができます。また、技術のレベルが上がると、難しい作品に挑戦することができ、いろんなものを作ることができます。

秋田の農山村では木も重要な資源として使われていました。お手伝いした農家さんでは裏山から採ってきた木を切り、燃料にして冬にストーブとして使います。簡単に思えた薪割りですが、実際やってみるととても難しかったです。(ベネズエラ)