支えあう仲間

「うちはね、農家の友達がいろんな野菜を持ってきてくれるから、農家民宿なの」 高橋京子さんはそう話して、満面の笑みを浮かべた。

互いの仕事を支え合う仲間のひとりに、東由利フランス鴨生産組合代表の金子拓雄さん(58)がいる。 弁天の宿の農業体験メニューを引き受けてくれる農家だ。

金子さんは開拓農家の2代目。米、野菜、畜産とありとあらゆる農業を知っている。

「冬場、自動車工場に出稼ぎに行ったことがある。同じ場所に立ちっぱなしで作業をしながら、よく分かった。『働く喜びは農業しかない』って」

その誇りが金子さんを雄弁にする。「1反部10俵」を収穫する田んぼの話をしたと思ったら「うちのメロンは甘いぞ。 トウモロコシは新しい品種に挑戦したよ。これもうまい。あちこちの農家の直売所を見て参考にするんだ」という風に。

特産のフランス鴨は、飼育だけでなく食肉加工施設まで整備した。東由利の魅力を発信するイベントには、そのフランス鴨を提供して参加する。

「高橋さんは物を売るセンスがいい。そこが俺と違う。 でも共通点は『(投資した)元を取る積もりだと商売はできない』というところだな」。 金子さんはそう言って、大きな目をいっそう見開いた。

高橋さん

金子拓雄さん(左)からフランス鴨の加工場の新しい設備について説明を受ける高橋さん