「阿仁の森 ぶなホテル」訪問記

 

場所:
阿仁の森 ぶなホテル
(北秋田市阿仁鍵ノ滝206  TEL:0186-82-2400)
時期:
平成22年2月24日(水)~25日(木)
体験内容:
古民家「二又荘」、森吉山樹氷見学
体験者:
「白神ぶなっこ教室」佐尾和子
 

阿仁の森 ぶなホテルでの2日間

一日目:

JR角館駅より秋田内陸縦貫鉄道にて15:03、阿仁合駅到着。

 「ぶなホテル」オーナー山田博康さんが改築した古民家「二又荘」(美土里庵)を訪問した後、阿仁合駅に隣接する阿仁鉱山の歴史を伝える「伝承館」「異人館」を見学しました。

17:30ホテルに到着。夜は薪ストーブの柔らかな火を囲みながら、山田さんからぶなホテルを始めたいきさつや「二又荘」のお話などをうかがいました。外に出ると満天の星空でした。
二日目:

小春日和。森吉山の樹氷を見に行きました。ゴンドラの終点から雪道を石森まで登りました。見頃のはずの樹氷は暖かな晴天続きで、だいぶ溶けていましたが、幾重にも連なる奥羽連山とブナの生育限界(標高1380mくらい)の先に広がるアオモリトドマツの樹氷群はとても興味深いものでした。   

12:00 藤里へ向けて出発。

今回の体験での感想、印象に残ったエピソード、グリーンツーリズムへの意見など  

手作り料理
薪がアクセントのぶなホテル

雪に囲まれた道を森吉のスキー場を目指して上って行くと、数件のホテルがひっそりと建つ中、黒い外壁にテラスの白い壁が一際目立つ洒落た建物が、「阿仁の森 ぶなホテル」でした。窓と窓の間の外壁に積まれた薪が建物のアクセントになっているのは面白く、お電話でのざっくばらんで快活な印象の山田さんらしいユーモアを感じました。


二又荘

今回は、雪深くてブナ林があるというぶなっこ教室と同じような条件の所で、冬場をどのように運営されているのか興味があってうかがいました。

 

かんじきトレッキングを希望していたのですが、山田さんが選挙に出られるためご多忙でかないませんでした。そんなわけで、「二又荘」「伝承館」「異人館」へは、たまたま取材に見えていた秋田花まるっグリーンツーリズム協議会の八柳好美さんと一緒に出かけました。

 

阿仁は、もともと阿仁マタギで知られるマタギの里ですが、その中で長いトンネルを抜けた先にひっそりと雪に埋もれて現れるのが、根子集落、根子マタギの里です。

 

 

 「二又荘」は、山田さんがこのマタギ集落にある古民家を改修してグリーンツーリズムの体験の場として始めたものです。囲炉裏のある板敷きの居間、アイランド形式の厨房と食堂、広くつながった和室が3部屋、凝った造りの欄間、客間には暖房用だったというに小さな炉がきってあります。廊下には寄贈されたヒグマ、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、テン、キジなど様々な剥製、さすがマタギの里です。

 目の前は2本の川の合流地点、庭には大きな栗の木などなど、四季折々楽しめそうな所です。山田さんは、ここを農村の生活体験の場や貸別荘として使いたいとのこと。こんな所で別荘暮らしができたら最高!という感じです。 

 また、阿仁は鉱山の町としても栄えた所です。1300年代に金銀が、そして1600年代に銅が発見されて以来銅山として栄え、1716年には産銅日本一となりました。明治になると海外から技術者を招聘し、宿舎として異人館も建設されました。この山間の地に、過酷な労働を内包した、しかし想像もつかないほど賑やかな町があったのではないかと、時代の推移とともに移ろいゆく人々の生活と地域の運命を考えさせられました。

 

  

山田さんの歩み

                                                                           

オーナーの山田博康さん

山田さんが子供の頃の昭和30~40年代に落ち着いた形態で残っていた古いものが、次第になくなってきて、茅葺き屋根の家は、昭和40年代に姿を消しました。
茅葺き屋根は、燻すことで30~40年は保つために、囲炉裏が生きていた頃は健在でした。屋根の葺き替えは集落総出の仕事でしたが、昭和40年代、高度経済成長に伴って生活様式が変わり、集落内での茅葺き作業ができなくなってしまいました。昔は稲刈りをして、はさがけで稲を乾燥させている間に茅を刈りに行き、冬囲いなど冬の準備をしたそうですが、機械化が進み、農作業が終わるとすぐに出稼ぎに行くようになると、「結」がなくなりました。                                                                                         


山田さんの出身地でもある根子集落は、日本の里100選に選ばれており、マタギ発祥の地と言われています。平家の落人(*注)が住んだと言われており、京ことばが残っているそうです。70~80世帯の人が住んでおり、農村社会学の研究者にとって最高の研究の場であり、ハイレベルの研究論文が出ているそうです。
でも、現在茅葺き民家が残っているのは2カ所だけ。「二又荘」もすでにトタン屋根になっています。生活の実体験をした人がいなくなり、60代になって幼少時代の空間がなくなるのを見て、集落の中に一つでも残したいと思ったのが、「二又荘」を残したきっかけとのこと。この家は、昭和の初めから製薬会社で財をなした家で、住人の老夫婦が亡くなり、ほぼ無償で譲ってもらったそうですが、改築には費用がかかり、冬場の維持管理の費用もばかになりません。


大学時代、ユースホステル活動に携わっていたので、ユースホステルをやりたいと思っていた山田さんは、卒業後2年間東京でサラリーマン生活をした後、帰ってきて農協に9年間勤めました。そんなおり森吉山にスキー場ができるので、宿泊業をやらないかという話があり、調べて歩きました。それが実現しないうちに41才で議員になり、地域興しなどにも携わるうちに、スキー場がさびれてきて、このホテルが競売にかかっていたのをただ同然で買い取りました。オーナーは山田さんで3代目だそうです。

熊鍋、だまっこ汁、馬肉の刺身、山菜料理などが並ぶ夕食

このホテルは、バブルの頃に資金をつぎ込んで建てられた贅沢な造りの建物ですが、買い取ったときは荒れ放題、改修にはかなりの費用がかかったそうです。食堂の吹き抜け天井の太い梁、ステンドグラス、無垢の床材、ゆったりした客室など、重厚で贅沢な雰囲気にバブルの時代をうかがい知ることができます。食堂の大きな窓からの景色は、落葉樹林の山の斜面を切り取った大きな絵のようであり、四季折々に変化する森の姿はどんなに美しいことでしょう。静かに燃える薪ストーブの柔らかな暖かさは、山田さんの雰囲気にぴったり。

 

サウナ付き檜風呂は、山田さんのご自慢です。夕食は、珍しい熊鍋(このホテルのメインディッシュです)を中心に、だまっこ餅、山菜料理、馬肉の刺身などおいしい郷土料理を、山田さんのお話をうかがいながらいただきました。                                                    

森吉山のブナは、白神のブナとはまた趣が違うとのこと。季節がよければブナ林への早朝散歩に連れて行っていただけるのに、と残念でしたが、森吉山のお花畑探訪もしたいし、お互いに訪ね合うことを約束して別れました。                                                

 

森吉山の樹氷

この体験を通じ、それぞれの思いがあって開業したグリーンツーリズム協議会の会員同士が親しく繋がることで、自分の所に宿泊したお客様に紹介したり、一緒にツアーを企画し他地域との交流を目指すことも夢ではないということを実感しました。グリーンツーリズムの旅は、決して派手ではないけれど、しみじみと心に響く、そして時代を乗り越えるエネルギーとなる旅ができるのが、特徴だと思います。それをお互いに協力し合いながら、口コミなどで地道に広げて行くことが求められていると思います。

*注:源氏という説もあります。

 

 ぶなホテル 山田博康さんのコメント

森吉のブナも良いですよ。芽吹きの頃また来て下さい。白神にもお邪魔します。


秋田花まるっ 元気通信

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日時 平成29年6月16日(金)10:00ふくじゅ館集合~14:00 場所 <ふくじゅ館(大竹会館)>にか

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