実りの秋田県南を堪能
刈り上げ節句と笑顔の交流3日間

長谷山邸

平成22年10月7日~9日にかけて、豊かな自然や食文化、今に伝わる歴史的建造物などをゆったり、じっくり味わう旅―刈り上げ節句と笑顔の交流3日間―が秋田県南で開催されました。仙台からのお客様を迎え、共に目を凝らし、耳を傾け、存分に味わい、実際に験。県南の魅力や出会う人々の温かさなどの感動を皆で拾い集め、共有するような旅に、自然と笑顔がほころぶツアーとなりました。

 
*1日目
櫻山カフェ&レストラン(産直イタリアン)/羽後町
 
およそ1000坪の広大な日本庭園。幕末から明治にかけて文人が足を運び、歴史と文化を刻んでいます。 趣ある築120年の建物。樹齢700年のけやきの木が“そこ”にあるから、この場に建てたと言われているそうです。
   
前菜はチーズがかかったサラダ。野菜の甘さが引き立ちます。 メインはこちら。地場産の食材で作られたイタリアン料理。見た目もおいしい。 梅入りシャーベット。梅酒の味と香りがほんのりと。
     
贅沢なロケーションである庭園を眺めながら、ご飯をいただく至福のひととき。素晴らしい景観とお料理、ご馳走様でした。 隣接する料亭・櫻山の女将でもある、榎本鈴子さん。榎本さんのお話に耳を傾けつつ、秋田美人にうっとりする御一行。
   
◆西馬音内盆踊り会館 /羽後町

700年の歴史をもつと言われる日本三大盆踊りのひとつ、西馬音内盆踊り。(国指定 重要無形民俗文化財)

賑やかで勇ましく野性的なお囃子に対し、優雅で流れるような上方風の美しい踊りが西馬音内盆踊りの特長です。

 

西馬音内盆踊り会館には地元のお母さんたちによる、盆踊りの様子を表現した人形が展示されていました。美しい指のしなりなど、忠実に表現されています。

 

 

 

■開館時間/午前9時~午後5時

■休館日/毎週月曜日(祝日の場合は翌日)

■入館料/無料
 (ただし、場所を占有して使用する場合は有料)

■問合せ/電話 0183-78-4187

 
   
 
藍染めの見事な大型壁掛け。
スクリーンで盆踊りに関する映像も観賞しました。
西馬音内で着用されている藍染の浴衣は、その柄も個性豊かで変化に富んでいます。上絞りと呼ばれる技と洗練されたデザインが踊りを更に美しく映します。
   
「端縫い衣装」と呼ばれる古い踊り衣装。絹布の図柄と配色への工夫が施されています。祖母から母へ、母から子へと受け継がれると言われています。 盆踊り当日は、西馬音内盆踊り会館のバルコニーにお囃子のためのやぐらが組まれます。賑やかで勇ましく野性的なお囃子は、一層盆踊りを盛り上げます。(写真2010.8.17)
   

盆踊りをまだ見たことがないという仙台からのお客様たち。

スクリーンで見る映像を通して、受け継がれてきた盆踊りに興味を示し、凝った衣装を一枚一枚、写真に収めていました。

 

展示された、地元のお母さんたちによる数々の作品を見ながら、「この辺の人たちは、裁縫や細かい作業が得意なのかもしれないね。」なんて話を弾ませました。

   

◆鈴木家住宅・国指定 重要文化財/羽後
江戸時代初期の建築物で、秋田県内最古の住宅。「鈴木家」は、重要文化財に指定されています。源義経の郎党・鈴木三朗重家を祖先とし、秋田県の「鈴木」総家と言われている。

「最も他の文化財と違う点は、私たちが住んでいることです。」と第四十六代当主・鈴木杢之助重廣さんは言います。まさに、『暮らし』が残る、生きた文化財。 「天井がないので、寒いです。」と笑った鈴木さんでしたが、『住めば都。私にとっては文化財というより住まい』とも。人の手が加わることで、更に歴史を刻み続けています。
   
600年以上前(室町時代)の薙刀(なぎなた)に目を奪われます。その下に下がっているものは、席札。冠婚葬祭の場など、親戚が集まった際、座る位置が決まっていたそう。 当時、落ち武者をこの部屋にかくまい、周りには「ばけものがでるぞ」とこの部屋から遠ざけていたと言われているそうです。今でもお盆の三日間しか開けないそうです。
   
観音開きの重厚な扉をもつ土蔵(染付蔵)。正面は黒漆喰仕上げとなっています。 土蔵の中に大切に所蔵されている古伊万里染付の陶器。こちらは、蕎麦猪口。他に皿鉢などがズラリと並び、その数の多さに目移りしてしまいます。
   
◆軽井沢(茅葺民家と棚田が残る地区)/羽後町
羽後町の中でも茅葺民家の多い軽井沢地区へ。バスから降りて、清々しい空気を吸いながら少しだけ歩きました。昔話に出てきそうな癒しの風景。 車窓からの一枚。はさ掛けしてある何枚もの田が、県南に住む私にも、新鮮なものとして目に飛び込んできます。
   
◆旧長谷山邸/羽後町 
旧田代村の地主・長谷山行毅氏の邸宅を改修したもので、現在は羽後町の交流促進施設として一般に公開されています。こちらは明治15年建築の母屋。 土蔵の高楼は当時(明治35年建築)としては珍しい3階建て。母屋に隣接しています。こちらは長谷山氏のお姉さんの誕生祝いに建てられたそうです。
   
 
長谷山家の分家に当たる長谷山トメさんが案内してくれました。当時、長谷山氏は山は300町歩、田は100町歩を所有し、2,000俵の小作米を受け取っていたとか…! 母屋にて、このツアーのために西馬音内盆踊りが披露されました。女性3名による踊りでしたが、1人は男装。惹きつけられる魅力に、酔いしれました。
   
本協議会会員「彦三」の猪岡専一さんらから餅が振る舞われました。その力強さから歓声がわきます。 この日のために、猪岡さんの奥様が、秋の季節を室内にも用意。素敵に飾って、お客さんの目を喜ばせました。
   

「羽後の伝統食を再現する会」の皆さん(写真トップ)による、ご馳走がお膳いっぱいに並べられました。

刈り上げ節句とは、この地域に伝えれれてきた節句。収穫を感謝し、皆で喜び、祝いあう行事です。猪岡さんが方言たっぷりに紹介下さいました。
 

秋田県南・羽後町という小さな町をじっくり味わった一日目。
小さな町に溶けこみ、触れたもの全ては私たち秋田県民ですら心躍るような発見や感動が散らばっていました。

建築物や西馬音内盆踊りが受け継いできた伝統。そこに生まれた誇り。
懐かしさと新鮮さが入り混じる不思議な空間が、そこに展開されていたように思います。

まだまだ一日目。二日目もお腹いっぱい。温かいおもてなしに心もぽっかぽかです。
・・・つづく。

 

県南担当 けこさん