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Nishi-monai Lantern Festival


 羽後町のお盆の夏の夜を彩る西馬音内盆踊り(国指定重要無形民俗文化財)。この祭の起源は記録されたものがまったくないために、すべて言い伝えによるものです。秋田県南部の雄勝郡羽後町西馬音内でのお盆のお祭です。

 1288〜93の正応年間、源親という修行僧が御嶽神社(当時蔵王権現)を勧請して、ここの境内で踊らせたものという説があり、これが1601年(慶長6年)城主の小野寺茂道一族が滅び、その家臣たちの子孫が主君をしのんで8/16〜20までの5日間に西馬音内寺町の宝泉寺境内で行った亡者踊りと合流し、さらに1781〜89の天明年間に本町通りに移り現在まで継承されてきたものと伝えられています。

 現在はお盆を中心とした毎年8/16〜18まで西馬音内本町通りにおいて、かがり火を囲んだ細長い一つの輪をつくり、幻想的なひこさ頭巾とあでやかな端縫い衣装の踊り手さん方が、にぎやかで勇ましく野性的なお囃子にあわせて、夕方から夜更けまで踊り続けます。

Quick Timeで動画がみれます

"がんけ" (QuickTime : 400KB)

"音頭" (QuickTime : 620KB)

篝火にぼぉっと浮かぶひこさ頭巾に酔う

ひこさ頭巾

 黒い覆面をかぶった踊り手さんです。ひこさ頭巾は、踊り手の表情がまったく見えず、亡者を連想させ幻想的な雰囲気をかもしだします。

 秋田県由利地方の「はなふくべ」や山形県庄内地方の「はんこたんな」と関連があるとか、歌舞伎の黒子がヒントになっている等、諸説ありますが、ハッキリとした由来は分かりません。

端縫い衣装

  4〜5種類の絹生地をあわせて端縫った衣装で、女性が多く用います。この場合はひこさ頭巾ではなく、編み笠をかぶり、帯の結び方は御殿女中風な形になります。

 多くの人に見守られながら踊る女性達は、図柄と配色に工夫を重ね、少しでも人目を引くように苦心したことでしょう。また中には祖母から母へ、そして娘へと代々受け継がれて来たものも少なくないでしょう。

 編み笠ごしには踊り手さんの表情はほとんど見えませんが、うしろ姿の美しいうなじが魅力的です。

指先の柔らかいくねりに酔う

囃子はやぐらの上で

囃 子

 "よせ太鼓"、"音頭"、"とり音頭"、"がんけ"の4種類があります。お囃子には、笛、大太鼓、小太鼓、三味線、鼓、鉦(すりがね)などのほかに唄い手が加わります。

 そして西馬音内盆踊りの魅力は、美しい踊りとはまるで趣を異とするこの囃子という人もいます。世を風刺したもの、野趣叙情溢れるもの、からっとしたエロティシズムを匂わすもの等、多彩な即興詞で踊りを盛り上げます。

 これらは通りのほぼ中央に組まれる踊りの輪の外側の特設やぐらの上におり、その左右の柱には「五穀豊穰」「豊年満作」と書かれた長灯籠がかけられ、周りには幔幕が張られます。

音頭の歌詞(一例)
  • 踊るて跳ねるて 若いうちだよ おらよに歳ゆけば なんぼ上手に 踊てみせだて 誰も見る人ねぇ
  • 西馬音内おなごは どこさえたたて 目に立つはずだんす 手つき見てたんせ 足つき見てたんせ 腰つき見てたんせ
  • いやよいやよは おなごの常だよ なんなら試してみ 一寸引かたば 五寸も寄てきて それでもいやだとさ

がんけの歌詞(一例)
  • お盆恋しや かがり火恋し まして踊子 なお恋し
  • 踊る姿にゃ 一目で惚れた ひこさ頭巾で 頭しらぬ
  • 踊ってみたさに 盆踊習った やっと覚えたば 盆がすぎた
  • 踊り踊らば 三十が盛り 三十過ぎれば その子が踊る
  • 踊り踊れよ 夜が明けるまで 響く太鼓に 月がさす

踊 り

 "音頭"、"がんけ"の2種類があります。にぎやかで勇ましく野性的なお囃子に対して、優雅で流れるような上方風の踊りが西馬音内盆踊りの特徴です。特に女性の指先の柔らかなくねりと、美しいうなじはこの踊りの大きな魅力の一つだと思います。

 美しいうなじと、色っぽい踊りに魅かれて編み笠のなかを覗き込んだら、実はたいそうお歳を召したおばあちゃんだったという話しがあったとか........。でも実際にあってもおかしくない話かもしれません。

編み笠からのぞく白いうなじに酔う
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